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トマトは種を抜いてから食え
なんて今ごろ教えられても
すでにトマトは、腹の中で芽を出して
根も張って、とっくに手遅れ
- トマト男
2006-04-15
ファントマ哀歌 (上)
         ―― ロベール・デスノス

1.
聞くがいい、耳をすまして
哀しいかな、これより並べ立てたるは
たぐいまれな犯罪のすべて
あるいは残虐、あるいは暴逆
ああ、いまだ罰せられざる
悪漢ファントマのしわざの数々

2.
愛人レディ・ベルタムは
夫がやつに殺されるのを見た
それも当然、夫は二人の
愛の現場を邪魔したのだから
かくてファントマは
客船ランカスター号を海に沈める

3.
百人の命をやつは奪ったが
ジューヴはファンドールの手を借りて
ついにファントマを
断頭台へと追い上げる…
ところが、処刑されたのは
まんまと仕立てた俳優だったと

4.
嵐の中で灯台は崩れ落ち
不運や船は、難破して海の底
されど見よ
浮かび上がった四つの首は
金色の目のレディ・ベンタム
ファントマ、ジューヴ、ファンドール

5.
怪物には娘がひとり
花にたとえん愛らしさ
心やさしく、あたかく
親の血などは引かぬはず
あわや死すべきファンドールを
救った者こそエレーヌなれば

6.
駅の手荷物預かり所から
血まみれの小包ひとつ転がり出て
詐欺師が一人逮捕され
だが、死体はどこに?
いや、死体は生気みちみちて
それはファントマ、ほら、そこに

7.
鐘に閉じ込められて
葬儀が告げられ
かくてナンバー2は死ぬ
お気の毒さま、頭から
血とサファイアとダイヤとを
参列の群に振りまいて

8.
ある晴れた日、突然パリの
噴水が歌いはじめる
人々は驚いても
コンコルド広場のシレーヌに
幽閉された囚われ王が
泣く声だとは知るよしもない