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2011-04-15
大正調 3 「付け文」
たった一度の
文つけて
あなたはどこへいらしたの
わたしはお返事かきました
今度あなたにあえたなら
いいえ、それでははしたない
付け文かさねて
二度三度
いただいたなら
やむをえず
お返しする文かきました
文箱に入れて
また出して
読み返すたび
胸が鳴る
顔があからむ
そんな文
ひとに隠れてかきました

あなたのお文と
わたしのお返し
ふたつ並べてはずかしく
そっと重ねてなおはずかしい
思いのたけを
またしたためて
増えるはわたしの文ばかり
たった一度の
文つけて
あなたはどこへいらしたの