Magazine Oi!
2011-05-25
ランタン事件
あんなにもセンチメンタル
こんなにもセンチメンタル

解ける謎と解けない謎
探偵は夜空に消えて
かわりに降りてきたのは
赤く灯ったランタン

あら、いやだ

探偵を知る人も知らない人も
ぞろぞろ集まってきて
これは探偵の身代わりか
それとも探偵の魂か
赤く灯ったランタンを囲んで
あれこれ言ったり
言わなかったりしていたのだが

ねえったら、そうでしょ

こんなにもセンチメンタル
あんなにもセンチメンタル

そのうち誰かが言い出したのは
よくぞこれほどのランタンに化けたものだ
え、するとこれは
探偵の身代わりでも魂でもなく
探偵さんご本人なの?
いいえ、そうではありません
ランタンはランタン
赤いランタンは赤いランタン
けして化けたのではありません

おほほ

化けたのではないとすると
赤くランタンの中で燃えているのは
やはり探偵の魂か
ところで、魂は燃えますか
さあ、どうでしょう
ためしに火をつけてみましょうか
いや、もう燃えてますよ
なるほど、燃えてますね
ということは、魂は燃えると
ということは、これは探偵の魂であると
そう論はきまって
さて、このランタンをどうするか

あたし、こまります

いったん話は決着したかと見えたのだが
いや、いや、そうではない
物は物、人は人
ランタンはランタンであって、探偵ではない
どう見てもこれは探偵の置き土産
この事件を忘れるな、いつまでも
そういう探偵のありがたいメッセージじゃな
いや、長老のお言葉ですが
ランタンは探偵であって、ランタンではない
そういう見方もあっていい
いちがいには言えない、なぜなら云々
と口をはさんで、誰がって
またも紛糾――


- What da Heart

解ける謎と解けない謎があって
探偵は夜空に消え
かわりに降りてきたのは
赤く灯ったランタン
探偵を知る人と知らない人が
そのランタンを囲んで
一夜がやがややっていたのだが
いいえ、あたしは
大人の女の人ではありません
そんなことをするうちに
いつしか夜は明け、今は朝
昨夜のことは
「ランタン事件の夜」
として村の記憶に残ったのです