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2011-11-29
エディンバラ
迷路のように続く路地を
どれほど歩いたか
魚介市場から
二階の窓を通って
公権と私権の入り組む
張り出し通路を抜け
三階の賭場から地下へと続く
狭くて急な階段を
「それは二重人格の代名詞です」
部屋からもれる声を聞き流し
もう三日も歩き続けて来たろうか
いったい誰に呼ばれて
城砦でもあるような
入り組んだ廃線でもあるような
四階からだったか
もっと上の階からだったか
わたしに呼びかけた女は
いくら迷路を
たずね回っても
「誰も呼んだりしなかったわ」
いつか巡り会うことがあったら
きっとそう言うにちがいない
酒場にかかった絵看板の
薄笑いの男たち、そして
旅商人の夫婦が
抱き合っているベッドを横目に過ぎて
井戸のある小さな広場へ
すると、そこもまた
印刷所から昇る階段や
街へと続くらしいトンネルや
ひしゃげたベンチや長い花壇に
時は流れて、嘘に似た夜気