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2016-06-11
かごめかごめ ver.2
温泉ホテルのステージ付き宴会場。
無色のドレスの女と赤いドレスの女、それにマネージャーの私が、ステージで出し物の打ち合わせをしている。
女たちはお笑いのコンビ。二人ともすごく太っている。
無色のドレスはビニールのレインコートを改造したものらしい。古びていて半透明だが、中年過ぎの崩れた体型が丸見え。
「みっともないったらありゃしない。よくそんな格好で人前に出られるもんだ」
と赤いドレスが非難して喧嘩がはじまる。
口論がエスカレートして、無色のドレスの女が赤いドレスの女をステージから突き落とす。
赤いドレスの首がねじ曲がって死んでしまう。
なぜか私は少し安心する。
ところが赤いドレスの女はすぐ息を吹き返して、首が折れたままステージに上がってくる。口から泡を吹いている。目の玉がひっくり返って白目ばかりになっている。
宴会の開始にはまだ時間がある。そこで仕事に使えそうなお囃子の曲作りをはじめるが、赤いドレスはまだ怒ってる。殺されかけたのだから怒っても当然だろう。いや、いったんは死んでしまったのだ。
無色のドレスの女と私で赤いドレスをなだめながら楽曲を完成させる。
ひさしぶりの曲の完成である。当時のことだからオーディオを収めておくのはカセットテープだが、多少の達成感とともにカセットをデッキから外したところで「しまった」と思う。これではデッキや楽器に指紋がべたべたではないか。よその現場に残してきた指紋とここでの指紋を照合されたらまずい。

どうして俺はいつもこうなのか。なぜやってもいない失敗の夢ばかり見るのか。なんだよ、指紋て?──と夢のなかで思う。
自分の置かれた状況が、かごめかごめに似ている気がする。
そんな気がした理由はわからないが、うしろの正面だ〜れ、と歌って夢を切り上げる。
すると、そこはあいかわらず温泉旅館のステージの上。
赤いドレスの女が出来たばかりのお囃子にあわせてスキャットしている。
折れた首から息が漏れてる。