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2018-06-10
『新釈 遠野物語』読了
第6話「笛吹峠の話売り」
第7話「水面の影」
第8話「鰻と赤飯」
第9話「狐穴」

井上ひさしの『新釈 遠野物語』を読了。
残念ながら傑作ではなかった。怪異譚を意図していたようだが、不向きだったか。

『新釈 遠野物語』は『小説サンデー毎日』1973年1月号から隔月ペースで発表された。
連載のはじまった73年は、井上ひさしの作家活動が頂点に達した年。
ほぼ毎月、しかも多い時は数誌の娯楽小説誌、週刊誌に短編やエッセイを発表。長編小説では『新釈 遠野物語』のほか、『吉里吉里人』を雑誌『終末から』で連載開始、『おれたちと大砲』を『別冊文藝春秋』に発表、『ドン松五郎の生活』を新聞で連載開始、戯曲では『珍約聖書』と『天保十二年のシェークスピア』を書き下ろしで新潮社から刊行、『薮原検校』を『新劇』に発表。
10月には、原稿を引き受けすぎて1週間の蒸発事件も起こす。
事件の影響もあってか、『新釈 遠野物語』の発表ペースも乱れ、間隔が伸び気味に。
(以上、『新潮現代文学 79 新釈遠野物語・薮原検校』巻末年譜による)

この忙しさの中にあって、一話ずつ話を完結させている。かなりの調べものか仕込みがないと細部が書き切れないような回もある。
最終話の「狐穴」は単行本発行時の書き下ろしか。『新釈 遠野物語』全体の締めくくりがつけられている。