Magazine Oi!
2011-12-14
夜更け
どこにもあるここにもある
いつも通りの有楽街に
歳末のアーク灯が
今夜も燃えていて
どれかのビルの
長い夜更けの階段を
誰かが忍び歩きまわる頃
夜が足りない!
と別の誰かが叫びだす

本棚の影で
自分の腕に針を刺す男
薄明かりの中
注射器にピンクの色が
逆流して
男はふっと息を吐く
足りてるのさ、夜は

と――別の誰かが
ドアを開いて
こんばんわ別の誰かさん
先に言ったのは
どちらの別の誰だったのか
もう一人の別の誰かが
相手を差しおいて耳をすませば
遠く近くのアーク灯の下に
ものの寄り添う気配もあって
これからだ
夜が枝分かれして
幾筋にも更けて行くのは