Magazine Oi!
2015-02-25
人は適当なことを言う
アポリネールがわたしの名前をあげて、
「芸術と大衆を和解させるのは、デュシャンと同じくらい美的なことにこだわりがなく、デュシャンと同じくらいエネルギーにこだわる芸術家の仕事であろう」
と言ってますが、ただの思いつきです。
おっと、申し遅れましたがデュシャンです。マルセル・デュシャン、美術家です。
ギヨーム・アポリネールはすぐ断言する。思いついたことをそのまま言ったり書いたりする。でもね、それが真理だったり事実だったりすることはめったにない。彼は人が良いし、おっちょこちょいだし、誰かに好意を持つとやたらほめてしまう。だけど正確な観察とか分析のうえで言うわけではない。まして「芸術と大衆を和解させる」なんて、わたしのどこを叩いたらそんなわたしが出てくるのか。
アポリネールが言ってるデュシャンは彼のデュシャンであって、わたし本人のデュシャンではない。
まあ、ギヨームにかぎらず、人はみな同じようなもので、適当なことを言う、しかも断言する。あたかもそれが真理であるかのようにね。
いや、わたしはアポリネールが好きでしたし、彼も好意を持ってくれていた。だけど、それとこれとは別です。アポリネールはアポリネールのデュシャン像を描いて、それを文章にした。それだけのことで、わたしの預かり知るところではありません。
迷惑してるかって? とんでもない。そういうものなんです。