同窓会
私は小学校の同窓会に行った。
当時は、家ごとに舟で暮らしていた。学校も舟の上だった。
私自身は、生まれたのも川舟の上だった。
何十年ぶりかなのに、旧友らは昔の面影を保っていた。
もちろん記憶から外れてしまった顔もあったが。
明ちゃんは小じわの目立つお婆さん顔になっていた。
「ごめん、明ちゃん」
まずい感想を持ったことを、私はあやまった。
「え、なんなの」
「いや…」
「そんな、いつまでも気にすることないのに」
明ちゃんは何か別のことを思ったようだった。
ドッジボールやソフトボールの話は、私にはおぼえがなかった。
女の子たちの縄跳びや鞠つきの話も妙な気がした。
そんな陸上の遊びを、私たちはしてたのか。
映画やテレビの中のことのようで、みんなと記憶が食い違っていた。
揺曳感がもどってきた。
波に揺られる舟の上の感覚だった。
私は懐かしさで涙がこぼれそうになった。
浮遊感もよみがえってきた。
川を潮が上がってくるにつれ、外の景色――船着場や岸の建物――が
沈み込んでゆく時の、うれしいようなあの感じ。
水上生活の時代のことは、同級生たちは忘れてしまったようだった。
教師が何か話しかけてきた。
当時は、家ごとに舟で暮らしていた。学校も舟の上だった。
私自身は、生まれたのも川舟の上だった。
何十年ぶりかなのに、旧友らは昔の面影を保っていた。
もちろん記憶から外れてしまった顔もあったが。
明ちゃんは小じわの目立つお婆さん顔になっていた。
「ごめん、明ちゃん」
まずい感想を持ったことを、私はあやまった。
「え、なんなの」
「いや…」
「そんな、いつまでも気にすることないのに」
明ちゃんは何か別のことを思ったようだった。
ドッジボールやソフトボールの話は、私にはおぼえがなかった。
女の子たちの縄跳びや鞠つきの話も妙な気がした。
そんな陸上の遊びを、私たちはしてたのか。
映画やテレビの中のことのようで、みんなと記憶が食い違っていた。
揺曳感がもどってきた。
波に揺られる舟の上の感覚だった。
私は懐かしさで涙がこぼれそうになった。
浮遊感もよみがえってきた。
川を潮が上がってくるにつれ、外の景色――船着場や岸の建物――が
沈み込んでゆく時の、うれしいようなあの感じ。
水上生活の時代のことは、同級生たちは忘れてしまったようだった。
教師が何か話しかけてきた。