竹花の咲く頃
爺さんと婆さんが
出がらしをすすって
やれどっこいしょと腰を上げたところに
三十年ぶりの枯れた竹やぶを
もうもうと踏み砕いて
犀が突進してくる
それも二匹や三匹ではない
さてはこのごろ
隣町を荒らしてるやつら
たしか新聞にものっていたはず
はて、どの記事だったか
たしかめようと眼鏡を探しかけたのだったが
すでに手おくれ、犀の群が
もうもうと走り抜けたあとに
爺さんと婆さんは
仲良く伸し餅になっていました――と
そう語る孫も、時は流れて、はや三十路
そろそろまた
なつかしい竹花の咲く頃か
村人の夜ごとの夢にも
遠い獣の地響きが
聞こえはじめているという
出がらしをすすって
やれどっこいしょと腰を上げたところに
三十年ぶりの枯れた竹やぶを
もうもうと踏み砕いて
犀が突進してくる
それも二匹や三匹ではない
さてはこのごろ
隣町を荒らしてるやつら
たしか新聞にものっていたはず
はて、どの記事だったか
たしかめようと眼鏡を探しかけたのだったが
すでに手おくれ、犀の群が
もうもうと走り抜けたあとに
爺さんと婆さんは
仲良く伸し餅になっていました――と
そう語る孫も、時は流れて、はや三十路
そろそろまた
なつかしい竹花の咲く頃か
村人の夜ごとの夢にも
遠い獣の地響きが
聞こえはじめているという