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2011-08-03
竹花の咲く頃
爺さんと婆さんが
出がらしをすすって
やれどっこいしょと腰を上げたところに
三十年ぶりの枯れた竹やぶを
もうもうと踏み砕いて
犀が突進してくる
それも二匹や三匹ではない
さてはこのごろ
隣町を荒らしてるやつら
たしか新聞にものっていたはず
はて、どの記事だったか
たしかめようと眼鏡を探しかけたのだったが
すでに手おくれ、犀の群が
もうもうと走り抜けたあとに
爺さんと婆さんは
仲良く伸し餅になっていました――と
そう語る孫も、時は流れて、はや三十路
そろそろまた
なつかしい竹花の咲く頃か
村人の夜ごとの夢にも
遠い獣の地響きが
聞こえはじめているという