私の百頭女
マックス・エルンストの『百頭女』をまねて、私の『百頭女』をつくる。
ヴィーナスのかわりに瓢箪鯰をつれてくる。
幾山河を越えて、あそこにもここにも瓢鮎図の男。
「風刺ですね」と人が言う。
予期したことなので、私は驚かない。
この世は瓢箪でナマズをつかむようなものだと、
そう言われてるのだから、そう取られるのはしかたない。
だけど違う。
時と所を越えて出没する瓢鮎男。
それだけの面白さでなければならない。
瓢鮎男を出したときから、
意味を問われてしまうことはわかっていたのだが、
至りませんで、とは言わない。
いつだって火山性の女たちが、後部を持ち上げて揺さぶると、
それは威嚇だと受け取る者がいる。
肉体培養。あるいは――お望みなら死を。
そうエルンストも言っている。
時と所を越えて、あそこにも瓢鮎男、ここにも瓢鮎男。
そして沼のほとりでは、戦国武将が叫んでる。
弟なにがし、討ち死にせり、
我これより、戦場におもむかん。
ヴィーナスも少しだけ出る。
百枚の版画だとして、一枚の遠景にヴィーナスがちらっといる。
私の彼が左利きだったりもする。
ヴィーナスのかわりに瓢箪鯰をつれてくる。
幾山河を越えて、あそこにもここにも瓢鮎図の男。
「風刺ですね」と人が言う。
予期したことなので、私は驚かない。
この世は瓢箪でナマズをつかむようなものだと、
そう言われてるのだから、そう取られるのはしかたない。
だけど違う。
時と所を越えて出没する瓢鮎男。
それだけの面白さでなければならない。
瓢鮎男を出したときから、
意味を問われてしまうことはわかっていたのだが、
至りませんで、とは言わない。
いつだって火山性の女たちが、後部を持ち上げて揺さぶると、
それは威嚇だと受け取る者がいる。
肉体培養。あるいは――お望みなら死を。
そうエルンストも言っている。
時と所を越えて、あそこにも瓢鮎男、ここにも瓢鮎男。
そして沼のほとりでは、戦国武将が叫んでる。
弟なにがし、討ち死にせり、
我これより、戦場におもむかん。
ヴィーナスも少しだけ出る。
百枚の版画だとして、一枚の遠景にヴィーナスがちらっといる。
私の彼が左利きだったりもする。