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2013-01-02
疑似科学の説得力

- Correlation between autism diagnosis and organic food sales - Boing Boing

相関関係と因果関係について議論する材料として作成されたグラフだという。
で、議論してみた。ひとり議論だけど。

このグラフに最もよく似合うコピーは「有機食品のせいで自閉症が増えた」とするものだろう。
事実がそのとおりかはわからない。このグラフから確からしく受け取っていいのは、相関関係であって因果関係ではない。有機食品の売上増加と自閉症と診断された人の増加が相関しているだけで、有機食品が自閉症の原因とはいえない。

少し考えると、このグラフから逆の因果関係も推定できる。「自閉症が増えたせいで有機食品が増えた」と。
ただし、これは「有機食品のせいで自閉症が増えた」とするものより説得力が弱いように思われる。
どこが違うのだろう。
たぶんヒューマニズムの度合いが違う。
「有機食品のせいで自閉症が増えた」という見方には、自閉症かわいそうというヒューマンな思いが入っている。
いっぽうの「自閉症のせいで有機食品が増えた」には、そういうヒューマニズムはない。人によっては、自閉症けしからんというアンチヒューマンな気分をこめたりするかもしれない。
説得力の違いは、このヒューマン成分によるところが大きいのではないか。

では、正解はどちらか。たぶんどちらも間違っている。
自閉症と有機食品の増加に因果関係はない。
しかしその証明は難しい。
的確な説明モデルが作れなければ、あらゆる因果の可能性をしらみつぶしに否定しなければならない。それは不可能である。

上のグラフだけを根拠に因果関係を断定するのは疑似科学である。
けれど科学で不可能なことも疑似科学は可能にする。
疑似科学は科学より強い。
ヒューマニズムと結びついた疑似科学はさらに強い。

議論を終えたところにこんなのが回ってきた。Fig.6 が素敵すぎる。

- Why It's Important To Understand Correlation & Causation - Alligator Sunglasses