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2016-04-01
小林一茶 ver.2
信州でパルチザン発生の報。
現場を確認せよとの指示で駆けつける村の駐在。
「一度目は悲劇として、二度目は喜劇としてだったかな」知らないふりでニヤリと笑う小林一茶。「短絡だよ、俺が茶なんか立てると思うか?」
はぐらかされて対応に迷う駐在。
とても自分の手に負える人物ではない。一茶を見て駐在員はそう思う。文化人は苦手だ。しかもパルチザンの組織者だという。駐在所でふだん付き合ってきた相手とちがい、考えてることが見えない。けれども、ずる賢くて凶悪、そんな感じはする。どうしたらいいのか。それにパルチザンの蜂起が事実なら──どうも事実らしい──村の駐在ごときが扱える事件ではない。機動隊か自衛隊の出番ではないか。
「やれ撃つな、だったかな」
またも、からかうような笑いを向ける一茶。
撃つなと言われても、こちらはまだピストルを抜いてない。ホルスターのボタンさえ外してない。挑発されてるのだろうか。ふるえながら腰のホルスターに手を伸ばす駐在員。
小林一茶が祈るように両の手のひらをすりあわせる。
命乞いをしてるのか。だが、笑っているようにも見える。目尻まで下がってる。もしかすると、ほんとうは優しいやつなのではないか。いままで挑発的だったのに、こんどは命乞いか、いや、やはり悪いやつに見えるが…、混乱する駐在員に一茶の合図を受けて襲いかかるローラーカー。たちまちローラーに押し倒され、すり潰される駐在員。

そしてまたも信州でパルチザン発生の報。
駆けつける近隣の駐在員たち。
「三度目は喜劇かね、惨劇かね」
さらに凶悪化する小林一茶。