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2016-11-08
屍体混じりの午後
午後の商店街で仮装行列。
コスプレブームで年々参加者がふえているが、このごろは本物の屍体も混じっている。
死後の世界はあるのかとか、暮らしはどうなのかとか気になるから、経帷子の一人(一体?)をつかまえてきくと、
「頭の回転が速くなり、自分がいちばん驚いてます」
ほんとに?
「言論は自由です」
いや、そうなのだろうが。
それにしても、屍体が屍体のまま仮装行列に参加するのは、ずるくないか。
「いや、仮装してますよ、ほら」
と屍体は帷子の両袖を広げて見せ、額につけた三角の布を指差す。
「屍体が生きてるふりをして、そのうえで死人を装っているのだから、こんな高度な仮装はありません」