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2017-03-27
夕景
ガス灯の下で
切り結ぶふたりの男
ひとりは、黒い帽子に黒いコート
白絹のマフラーで口元を覆い
仕込みの直刀を振るう
これは、あるいは刺客だろうか
脇差しで受けるのは
縞の着流し、眉太く、角刈りの
これはどうやら侠客か

ふたりの客の切り結ぶかなたには
暮れて動きを止めた大観覧車
にぎやかにの入る十二階
ひっそりと夕餉をすごす低い家並み
そのまた向こうは、星の浮きそめる空
美しいのは
影絵のように、人形のように
巡り合わせのままに、切りあうふたりか
それとも
裾にほのかな暮色を残して
深みゆく蒼穹か

この世に客として生まれるのが人ならば
客の中の客たる彼ら
さぞ、さいわい多く生きて
今また最後のさいわいを求めて争うか
ガス灯の下を血が飛んで
この世の分け前を
刺客と侠客のどちらが手にするのだろうか
抱きあって地に倒れ込むふたりの
いずれが今この世を旅立つか

かなたに、黒々と
浮かぶ大観覧車、さんざめく十二階
こともない低い家並み