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2017-08-28
二重人
R・A・ラファティ『第四の館』(柳下毅一郎訳)の抜き書き。
歴史には同じ悪人がくりかえしあらわれる。──P.67
この瞬間も、もうひとつの世界が存在している。見方を変えてやればいい。二重に重なりあって見える。──P.71
ここでは何もかもが二重に見える。──P.85
そもそもの人格原型は二重人格だった。──P.107
公理によれば、同一物と等しいものはそれぞれ等しいはずである。だが、その公理自体がまちがっているとしたら?──P.119
多重的な目をもちながらも。──P.217

次のはボードレール「シャルル・アスリノー著『二重の生活』書評」の一節。
阿部良雄訳『ボードレール全集 II 文芸批評』所収。アンダーラインの箇所は原文傍点。
われわれのなかでいったい誰か、二重人でないものがあろう? 私が言うのは、その精神が幼年期よりして物思いにとりつかれた人々のことだ。いつも二重なのだ、行動と意図、夢と現実。いつも一方が他方に害をなし、一方が他方の分け前を横取りする。