2021.1.31 sun. url
アヴェナリウス(1843-96)の思想。物理的事象と心理的事象、主観と客観、意識と存在といった二元論的仮定や、実体・因果関係といった形而上学的カテゴリーは、思考や感情や意志による投入作用によってわれわれの経験のうちにもちこまれた夾雑物にすぎないのであるから、そうしたものを完全に排去 して、そうした夾雑物の入りこむ前の〈純粋経験〉を回復する必要がある。この純粋経験に基づいて〈自然的世界概念〉を〈最小力量の原理(Prinzip des kleinsten Kraftmaßes)〉に従って記述することが哲学の任務だとアヴェナリウスは主張するのである。 ――木田元『マッハとニーチェ』