oi-quot no.10

[2021.2.1 - 2021.3.30]

2021.3.30 tue. link

柳田国男はしばしばソースを隠した。
そのうちでも最大の隠し事がクロポトキンという説。

柳田には、橋川文三が言う「réticence(闕語けつご法)」(「柳田国男拾遺」一九六四年)の癖があることは知られており、参照文献などを隠していることも頻繁である。柳田研究はそれを探し当てることに腐心してきたのではなかったか。われわれの考えでは、クロポトキンこそ柳田の最大の「闕語」なのである。 ――絓秀実・木藤亮太『アナキスト民俗学――尊皇の官僚・柳田国男』

2021.3.29 mon. link

ヘーゲルの教説に従って、いっさいの進化は「正・反・合」を表現するとか、「法の目的は正義の確立であり、それは至高の理念の物的実体化である」とかいったたぐいのお説教をアナーキストが聞かされるとき、あるいはまた、「生の目的は何か」とアナーキストに問いただされるとき、アナーキストは同様に肩をすぼめ、こう自問することであろう。すなわち、「自然科学が現代のように発達しているのに、相も変わらずこうした『ちんぷんかんぷん』を信じている古くさい人たちが今でも存在するとは、また自然を『擬人化』し、自然をもって人間の姿形をした存在物に支配されたものと考えた、原始的な未開人の言葉で今なおしゃべり続ける、おくれた人士が現在も生き残っているとは、いったいどうしたことであろうか?」と。 ――クロポトキン『近代科学とアナーキズム』(中央公論社『世界の名著 42 プルードン バクーニン クロポトキン』所収)

マルクスもヘーゲルを批判したが、自然や社会を擬人化するアニミズムは引き継いだ。
クロポトキンの批判がラジカル。
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「言論の自由の社会実験は失敗しました。言論の自由を進めすぎると良いことにはならない。無制限の言論の自由の結果が、現在起きていることなのです」 ――appleraich(💉個人的緊急事態で入院🤣🏥) on Twitter

2021.3.26 fri. link

今の日本で「普通に」生活して「ウヨク化」しないというのは、実は容易でないのだと僕は感じている。前々から言ってるけど、多くの「リベラル」諸氏はこの点を甘く見ている気がしてならない。「普通の日本人」にはカギカッコ不要ですよ、冗談抜きで。 ――ワイド師匠 on Twitter

2021.3.23 tue. link


アジアのブリキ男だったのですね



やはりあなたが、アジアのブリキ男だったのですね

ほう、わたしがアジアのブリキ男だと
そうおっしゃるからには
その前提として
まず非アジアのブリキ男が存在しなければならない
どうですか、あなたは非アジアのブリキ男をここで提示できますか

なんだか面倒なやつに話しかけてしまったが
面倒であるということが、すなわち答え
やはりあなたが


ならば、You are wanted!


ここでオーディオがスタート

追われ追われて30年
目も鼻も口もないブリキの仮面の
あなたはアジアのブリキ男
……

2021.3.22 mon. link

寄生植物として知られるラフレシア科植物のゲノムを解読し、ラフレシアが宿主から遺伝子を奪っていたことがわかった
大昔のラフレシアは現在とは異なる宿主に寄生していたことも判明
ゲノム情報から宿主転換が証明できる時代か ――ミクロコスモス on Twitter
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tett_k2 on Twitter「あら、昼間だから見えないのだけど今、黄道周辺に惑星が並んでいるのね…

2021.3.21 sun. link

むしろ問題は、人々が「フィクション」をもはや信じることができないでいることなのかもしれない。現在のインターネットは、個々が信じる「真実」で渦巻いている。そのような状況下で、「物語」を多元的な「フィクション」=可能世界に返してやることは、果たしてできるだろうか。言い換えれば、私たちは「フィクション」をもう一度本気で信じることができるだろうか。 ――木澤佐登志『ダークウェブ・アンダーグラウンド』
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――――
具体的な物事は必ず冗談に似ている。というより、冗談と見分けがつかない。世界の根底はそういうものでできている。 ――中里一日記: 『摩擦との闘い ―家電の中の厳しき世界―』

なにもかも冗談だなんて、
あたしがこんなに苦しんでるのも、それでは冗談だというのですか。
残念ながら、いや、さいわいなことに、
あなたがそんなに苦しいのも辛いのも、すべて冗談、ヒトが世界を冗談にしてしまったのです。
ヒトさえいなければ、世界は冗談ではないのですけどね。
この世には解けない問題があります。
そのことは科学的にも証明されています。
あなたの知能が足りなくて、いや、それは事実としても、
足りないせいで解けないのではありません。
誰にも解けない。どんな知恵者にも解けないのです。
もつれた毛糸玉なら、ていねいに根気よくほどいてゆけば、いつかは解ける。
でも、この世はそういうものではありません。
誰にも解けない。世界の根っこがそうなっているのです。
私たちはね、問題が解けるかのように勘違いして、あるいは知りながら気づかぬふりをして、
解けるかのように暮らしてますが、
いくら取りつくろっても、解けないものは解けない。
突き詰めてゆくと解けない。
だからね、あまり悲しまないのがいい。けっきょくは冗談ですから。

2021.3.18 thu. link

自己原因カウサ・スイ》は、これまでに考え出されたもののうちで最も甚だしい自己矛盾であり、一種の論理的な強姦であり、不自然である。しかし人間の常軌を逸した誇負は、事もあろうにこのノンセンスに深く恐るべく巻き込まれてしまった。遺憾ながらなお依然としてなお半可通はんかつうの人々の頭を支配しているあの形而上学的な最上級の意味における「意志の自由」への要望、自己の行為そのものに対する全体的かつ究極的な責任を負い、また神・世界・祖先・偶然・社会をその責任から放免しようとする要望、けだしこのような要望は、まさにあの《自己原因》であろうとする以外の何ものでもなく、ミュンヒハウゼンそこのけの無鉄砲さをもって、虚無の泥沼からわれとわが身の髪の毛を掴んで助け出そうとするのと同じである。 ――ニーチェ『善悪の彼岸』(木場深定訳)

2021.3.16 tue. link

自己は現象あるいは幻想であること。
自由意志というものもない。あるかのように我々が錯覚しているだけ。
科学ライターのマット・リドレーが『進化は万能である──人類・テクノロジー・宇宙の未来』(大田直子、鍛原多惠子、柴田裕之、吉田三知世訳)で言うには、すでに多くの科学者が自由意志は幻想だとしている。
以下、すべて同書による。

心理学者のブルース・フードが著書『自己幻想(The Self Illusion)』で言うには、自己は「脳のさまざまなプロセスが構成するオーケストラから交響曲のように現れ出てくる」。
心理学者で哲学者のニコラス・ハンフリーは、意識とは「あなたが自分の頭の中で自ら上演するマジックショー」としている。
生物学者のアンソニー・キャッシュモアによれば、どれほど自由に見える行動も「そのほんの数分の1マイクロ秒前までの、生物の遺伝的特徴と環境の歴史を反映しているにすぎない」。
著述家のサム・ハリスも自由意志は幻想だとして、「思考と意図は、自分で自覚してもいなければ意識的に制御もできない背景に潜む原因から現れ出てくる」と。また曰く「操り人形は、自分を操る糸を好んでいる限り、自由である」。
神経科学者のマイケル・ガザニガは、「〜に対して自由」を「〜から自由」と言い換えて、次のように問う。
「私たちは何から自由でありたいと願っているのか? 自分の人生経験から自由でありたいとは思わない。決定には人生経験が必要だからだ。自分の気質から自由でありたいとも思わない。気質も決定を導いてくれるからだ。じつは私たちは、因果関係から自由でありたいとも思わない。因果関係は、予想に使うからだ」
要するに我々は因果関係から抜け出せない。すなわち自由意志は幻想である。

上のキャッシュモアは、「私たちは自由意志を信奉するという性向を代々受け継いでいるのかもしれない」とする。
この言は、社会制度が自由意志の存在を前提にしていることの由来を示唆している。

2021.3.15 mon. link

ブニュエルとか、ダリとか、演技でとぼけてたのか地でとぼけてたのか。
自分もとぼけて生きたいと思う。
だけど、ときどきしか思わないので、思いが足りない。だからとぼけられない。
いや、思うだけではだめで、地でなければとぼけられないのでは。

あるいは、しらばくれる。
それには界面を厚くすればいい。もしくはすべすべに。
こんなふうに。
知ってる人は多いと思いますが、アジアのブリキ男です。

つまりよ、内面がこぼれないようにする。
ということは、やはり演技か。
ブニュエルはブニュエルの役を演じ、ダリはダリを演じた。そういうことなのか。

2021.3.13 sat. link

暦の計算をする場合は、しばしば地球を中心として天体が動くという天動説的な説明をした方が都合が良い。よって、地球から無限大の距離にある球への射影をおこない、天体はその上を動くものとした。この仮想的な球も天球とよばれる。黄道・天の赤道・白道などは天球上の大円である。天球上の位置は赤道座標系(赤緯・赤経)または黄道座標系(黄緯・黄経)によって示される。 ――天球 - Wikipedia

2021.3.10 wed. link

維新の志士はみな傑物、明治は華やかな新時代――というのは教科書の中の幻想。デタラメな新政府と死に損ないの旧幕府がせめぎあい、実情はまさに大混乱! 家来を捨てて逃げ出す慶喜、奸計を巡らす岩倉具視、世間知らずの公卿たち……。その間を取り持って勝海舟は孤軍奮闘! 敗者は非情な淘汰で歴史から消え、勝者は好き勝手に国を創る。最終決戦・戊辰戦争を軸に、「めちゃくちゃ」な政権交代劇を描く。 ――野口武彦『明治めちゃくちゃ物語 勝海舟の腹芸』の内容紹介文

カバー
書籍の表紙を包む紙です。
本来はジャケットと言う名が正式のようです。 ――本の各部名称
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Quite Interesting on Twitter

ゲシュタルト崩壊(ゲシュタルトほうかい、独: Gestaltzerfall)とは、知覚における現象のひとつ。 全体性を持ったまとまりのある構造(Gestalt, 形態)から全体性が失われてしまい、個々の構成部分にバラバラに切り離して認識し直されてしまう現象をいう。幾何学図形、文字、顔など、視覚的なものがよく知られているが、聴覚や皮膚感覚、味覚、嗅覚においても生じうる。 ――ゲシュタルト崩壊 - Wikipedia

2021.3.9 tue. link

ひで 最近Twitterで流れてきたんですけど、6本指の多指症の人って脳に別の領域があって、5本指の人より指をうまく使えるんですって。脳は可塑性が高いから身体が拡張されるとその使い方を習得することができる。 ――江永泉、木澤佐登志、ひでシス、役所暁『闇の自己啓発』第3章「AI・VR」


ひで 「意識は受動的な出力・結果にすぎない」とする受動的意識仮説についてはぼくも賛同する立場を取るんですけど、自由意志を信じているアメリカ人には受け入れがたいんですね。一方でインド人はほぼ100%受け入れる。 ――同前


江永 概括的な印象として、インテレクチュアル・ダークウェブの論者たちって、自然法則と道徳法則の区別が融けてしまったような感じがします。人権は不合理な迷信だという物言いに陥りがちというか、不合理であることが自明に有害だという立場になってしまっている。 ――同前

2021.3.8 mon. link

まずもってあらゆる所有権は法と秩序によって守られているっていう原則を忘れたらダメでしょう。
その所有権に暴力性が生じれば、それを越える暴力によって問題の解決を試みる人間は必ず現れる。それを「暴力は良くない」のポリコレに帰結させるのはイデオロギーに過ぎない。 ――栗鼠子 on Twitter
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まぎるぅ(物理∩数学⊂科学)on Twitter
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カードを持っている企業と国家の力関係が変わった、ということなのでしょうね。それに気付いた瞬間がそこだった、という話で、霞ヶ関の論理ではない。むしろ「日本が、科学技術を持たざる国になりつつある」ことに日本人のどれほどが気付いているのか… ――大貫剛 on Twitter

2021.3.7 sun. link

デモをおこなった人たちが「香港の独立」という範囲にとどまらず、広東語圏の全体を視野に入れて「両広(広東・広西)の独立」くらいを主張していれば、事態の推移も違ったものになったかもしれませんね。 ――「香港デモはなぜ失敗したか」その本質は"太平天国の乱"で示されている 標準語と広東語という「2つの中国」 (4ページ目) | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

反クーデターの人々は、女性の腰巻きを道に吊るして軍の接近を妨げる作戦に出た。女性の腰巻きの下をくぐると、男性の機能に影響が出るという信仰がミャンマーにはあるらしい。 ――高野秀行 on Twitter
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護床ブロック — Hail2u

2021.3.6 sat. link


『会津産明治組重』は、日清戦争と27年前の会津戦争を同じ芝居の中で組み合わせるという趣向だが、やはり日清戦争期の生人形の見世物でも、上野戦争と日清戦争が並列されるものがあったらしい。 ――日置貴之 Takayuki HIOKI on Twitter

時代を経た別の出来事から、同じパターンを読み取ること。
この図もベンヤミンの言う星座(Konstellation)や史的唯物論の例として使える。

類似に着目すること。

子どもは、お店屋さんごっこや先生の真似をして遊ぶだけでなく、風車の真似や電車ごっこをしたりもする。 ――ベンヤミン「類似性の理論」、「模倣の能力について」(山口裕之訳『ベンヤミン・アンソロジー』)

2021.3.4 thu. link

フィクションが真理への道であること。

かようの物語を見聞かん人々は、狂言綺語の縁により、あらき心をひるがえし、まことの道におもむき、菩提を求むる頼りとなすべし。 ――『曽我物語』

〈きょうげんきぎょ〉ともよむ。誤ったたわ言,むやみに飾り立てた言葉のことだが,和歌や物語などを卑しめていうのに用いる表現。狂言綺語をもてあそぶことは,妄語戒を破り,仏の教えに背くこととされていたが,一方《白氏文集》に〈狂言綺語の過ちを転じて……讃仏の因となさん〉(香山寺白氏洛中集記)とあったことから,平安時代以降,和歌や物語が逆に仏教の修行に繋がり,これを助けるとする考えが成立した。後白河天皇や藤原俊成などにこの考え方が顕著で,安居院流などの唱導などもこの立場に立っている。 ――狂言綺語とは - コトバンク
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殺到した群衆!
  闇の底に泥靴は鳴つた!
●●二階へ!
――――道路は争議団の
    職工の手と旗が渦まいてゐる!
扉の    /―――ピストルの発射があつた!
内部では/
ドヲツ!
CCCCCCCCCC―――群集の叫號!
ボギー列車は巨大な胴体をもつて中央停車場へ走つた!
   ● 赤
   ● 灯
        不安なレール―――┐

――萩原恭次郎「ラスコーリニコフ」

2021.3.3 wed. link

ベンヤミンの言う「星座」(Konstellation)について。

Konstellation の辞書上の訳語は、星座、星位、布置、状況など。
ベンヤミンは『ドイツ悲劇の根源』(浅井健二郎訳)の序章で、「もろもろの理念はそれぞれ永遠不変の星座なのであり」とし、また「理念はモナドである。かんたんに言えば、ひとつひとつの理念がどれも世界の像を含んでいる」とした。
鹿島徹編訳『[新訳・評注]歴史の概念について』の解説によると、「歴史の概念について」の異版にベンヤミンが自身で訳したフランス語手稿があり、そこでは「星座」が「イメージ」の置き換えになっているという。

歴史の一場面を切り出してプレパラートに固定したもの、それがベンヤミンの「星座」ではないか。
なぜ固定するか。固定しないで時間軸上に置いておくと、因果関係でつながった正史(勝者の歴史)のひとコマにされてしまうから。

2021.3.2 tue. link

斧定九郎が大星由良之助への敬意に中国の故事を重ねて暁星五郎の賊名を得たこと。
「天使の練習帳」逆撫の項の補足。

一方の時空に定九郎がいて、ふと見上げた空の一角に明るい星々が集まっている。
その星々とは、水星、金星、火星、木星、土星の五星。だから星五郎。
他方の時空に漢の劉邦がいる。彼は二十八宿の一つである井宿に五星が集結しているのを見て、天下統一を確信する。

ある時空におけるひとまとまりの事象をベンヤミンの用語で星座(Konstellation)という。抽象的な語で置き換えれば、配置、状況、情勢。
ベンヤミンの言う歴史認識とは、認識者の属す星座と過去のある星座がおなじパターンを示していることの発見。
――――
啓蒙的に語ってはいけない。啓蒙とは相手を見くびること。ひいては自分を貶める。
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フランス革命ではイエローペーパーが大きな役割を果たした。日本には宮武外骨という人がいた。虚報だ誤報だというレベルで言うなら宮武外骨はほとんどすべて「正しくない」。しかしいま宮武外骨がやったことは正しい。ひとしなみに「正しい」という枠の中に入れてしまうと言論の自由は失われるのだ。 ――竹中労 on Twitter

2021.2.27 sat. link

記念日ということ。

渡邉英徳 Hidenori Watanave on Twitter

昨日は2.26事件の日だったという。
とはいえ、事件が昨日起きたわけではない。85年前の昨日起きたわけでもない。
2.26事件は85年前の同じ日付の日に起きたに過ぎない。

どうして人は記念日にこだわるか。
命日とか、誕生日とか。
父母の命日なんか、自分はひと月もしないうちに忘れた。死なれたときはあんなに泣いたのに。
――――
喧嘩慣れということ。

こんなもの、送りつけ商法に政府が法的正当性を付与するのと同じだろう。相手が要らないという商品を一方的に相手に送りつけておいて、カネ払え、払わないなら割増金も取るぞと脅す。NHKは公共放送でなくヤクザか? ――山崎 雅弘 on Twitter

2021.2.26 fri. link

義理と人情を秤にかけて 秤もろとも踏みにじる ――小田嶋隆

自称保守やネトウヨの万能感、多幸症 ――適菜収
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ロシア史を調べていると、ロシア人はとんでもない速さでシベリアを横断し支配したことに驚かされるが、彼らはノコノコ陸を歩いたわけではなく、シベリアの大森林を流れる大河を航海して行ったのだと知ると、納得する。
彼らはまさに大航海時代の名に相応しい探検をシベリアで行った ――カオナちゃん!❤️¡kaona_chan! on Twitter

2021.2.25 thu. link

〽酒にうつろう星の影。
ハテ心得ぬ、この杯中に鎮星の、きらめく影は寅の一天、…
――「積恋雪関扉」

2021.2.23 tue. link

方便 on Twitter
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「乞食浮浪の徒」は「進歩」に寄与せず「伝統」にも関与しないものとして、歴史叙述のなかに位置を与えられずにとどまっている。だがそうのように過去においても現在においても忘却されている「歴史の敗残者」に目を向けてこそ、現在の「歴史の勝者」の「手先」(テーゼVI)たることを免れうるかもしれない。 ――鹿島徹訳・註『[新訳・評註]歴史の概念について』評註

2021.2.22 mon. link

関東ローム層の穴蔵。大森貝塚。さわれる過去としての地質学。
個体発生に見る系統発生の痕跡。
伝統芸能の身振りに保存された民族性。

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窓口の警官とのやり取りをライブストリーミングで配信しようとしたところ、その警官は音楽をかけ始めた。2月5日、活動家とビバリーヒルズ警察とのやり取りの最中、サブライムの「サンテリア」が再生された。その警官は水晶玉を持ってはいなかったのだろうが、著作権フィルターには随分と詳しかったようだ。 ――「著作権フィルターに検出されそうな曲をかけてライブストリーミングを妨害しようとした警官」は氷山の一角に過ぎない | P2Pとかその辺のお話R

2021.2.20 sat. link

美大受験でデッサンを習った時に、絵画のデッサンと漫画のデッサンは根本的に違うことを痛感しました。その頃手塚先生の「漫画は象形文字」論を読んで、我が意を得たりでしたが、この論、殆どの漫画家も評論家も理解してくれません。25年くらい孤独に叫び続けてますw ――竹熊健太郎《地球人》on Twitter

理解者がそれほど少ないとは驚きです。漫画家の中には絵を突き詰め、上達してゆくうちに物語作りから離れてゆく人も多く、それは絵が完成することで文字ではなくなってしまうからではないかと考えています。 ――芦辺 拓 on Twitter

過去、私の「漫画は文字」論に賛成してくれたのはアニメーション作家で東京藝大教授の山村浩二さんだけでした。後は、ピンとこない人がプロでも大多数です。おそらく「漫画の絵と一般美術の絵は違う」と言われると、多くの漫画家に共通してある美術コンプレックスを刺激するんだと思います。 ――竹熊健太郎《地球人》on Twitter

某評論家は「手塚が自分の絵を象形文字だと言うのは、手塚の美術コンプレックスの現れだ」と書いていますが、それこそ、その評論家の美術コンプレックスの現れではないかと思いましたね。 ――竹熊健太郎《地球人》on Twitter

漫画家が絵を突き詰めて物語から離れてしまうというのは、絵を描くことと物語を作ることの両立が余りにも困難だからだと思います。私は「漫画はトライアスロン」説も唱えています。だから、絵にこだわる漫画家の中には原作付きを歓迎する人も多いのです。 ――竹熊健太郎《地球人》on Twitter

2021.2.15 mon. link

ブランキは、世の中の流れこそが世の中の尺度であり、歴史的な成功こそ真理の標識なのだ、と主張する合理主義的歴史主義とそのような宿命論に取りつかれた人類を糾弾する。彼が実証主義的歴史主義の本質と考えるのは、正義の観念の放棄と、勝利者との同盟契約である。 ――ブランキ『天体による永遠』の訳者(浜本正文)解説

vs. 汪兆銘夫人の夫弁護。

「蒋介石は英米を選んだ。毛沢東はソ連を選んだ。自分の夫・汪兆銘は日本を選んだ。そこにどのような違いがあるのか」 ――加藤陽子『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』

否定的、肯定的という表現の違いはあるが、どちらも同じことを言っている。
勝ったからどうした、と。

2021.2.13 sat. link

無政府の観念は、どのような科学上の研究からも、いかなる哲学体系からも、生み出されたものではない。社会学は、今なお物理学や化学と同じ程度の正確さを得るまでにはいたっていない。(……)社会学のような年若い科学によって、風や雨といったものよりはずっと無限に複雑な事がらを取り扱いながら、将来の出来事を科学的に予測できると主張するのは、愚かであろう。 ――クロポトキン『近代科学とアナーキズム』(『世界の名著 42』所収、勝田吉太郎訳)P.441

アナーキズムをふくめ社会科学はいまだ正確な科学ではないという自覚。
科学を自称したマルクス=エンゲルスとの対照。

十九世紀におけるいかなる発見も、――力学、天文学、物理学、化学、生物学、心理学、人類学におけるどの発見も、弁証法的方法によってなされたのではない。これらの発見はすべてみな、唯一の科学的方法、つまり帰納法によって成就されたのだ。 ――P.482

エンゲルスの『自然の弁証法』では、帰納が否定され、演繹だけが科学的方法とされる。科学論においても、マルキシズムと(クロポトキンの)アナーキズムは相容れない。

交換価値と労働量とは、相互に正比例するものではない、つまり、一方が他方によってけっして計量されるのではないのである。そしてこのことを指摘したのも、アダム・スミスであった。彼は、各物品の交換価値がそれを生産するに必要な労働量によって計算される、と述べたあとで、ただちにこう付言しなければならなかった。すなわち、原始的交換制度のもとではそうであったにせよ、資本主義制度のもとではもはやそうではなくなった、と。 ――P.537

価値について前述した指摘は、ほとんどすべての経済学的命題にも当てはまるであろう。これらの命題は、今日では確固不抜の真理として――ことに、科学的社会主義と好んで名のりをあげている社会主義者たちのあいだで――受け取られ、お話にならないナイーヴさで、自然法則として呈示されている。 ――P.537

上は、商品の(交換)価値はその商品の生産に必要な時間によって規定されるという労働価値論(労働価値説)の否定。
マルクスの『資本論』は、その労働価値論を証明不要の法則として書き始められている。

アナーキズムが疑う余地もなく全く正しい一点がある。アナーキズムが社会諸制度の研究を自然科学の一部門と眺め、形而上学とは永久に訣別し、現代科学と今日の唯物論哲学との構成に役立った方法をば、自己の思惟方法として採用したこと、これである。その結果、よしんばアナーキストがその結果においてなんらかの誤謬に陥ったとしても、それに気づくことはきわめて容易であろう。しかし、われわれの結論を検証しようとするならば、それは、あらゆる科学が基礎を置き、またいっさいの科学的世界観の発達が依拠する科学的、帰納・演繹的方法によって、はじめて可能となるであろう。 ――P.555

2021.2.12 fri. link

何故、私は、写真家になるつもりだったのか。もちろん、写真家として成功したいとも、できるとも、思っていなかったのに。つまり私には、あの小さな暗箱を通して、存在するものを見るのが、気やすかったからなのか――たぶん、そうだろう。 ――日影丈吉「猫の泉」
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鐘は理由もなく鳴りそしてわれわれもまた
鐘よ理由もなく鳴れそしてわれわれもまた
――浜田明訳(講談社世界文学全集第78巻)インターネットの発展の恩恵をこうむることが多いが、とりわけ、欲しいと思っていた書籍を入手するのに絶大な威力を発揮してくれる。

2021.2.10 wed. link

日本人が東洋史を研究するアドバンテージとしては、漢文読み下しという独自システムの恩恵にあずかれるというのがとても大きいです。2000年前の他国の古典を、母語に直して読めるというのはぶっちゃけ超絶チートです。 ――平林緑萌 on Twitter
――――
2003年から始まり、今やヨーロッパ全土、アメリカにも広がる「赤信号の除去」計画は、私たちに多くの示唆を与えてくれる。信号機を除去したことで、歩行者や運転手の注意深い観察が最大化され、道路は「共有された空間」として再定義され、事故の数は激減したのである。ある秩序が画一的に適用されているもとでは、人はその「規則内で」好き勝手ふるまい、自発的な親切行為は生まれない。 ――ジェームズ・C. スコット著、清水展他訳『実践 日々のアナキズム──世界に抗う土着の秩序の作り方』 | by 長谷川新 | 建築討論 | Medium

気楽に自由を主張する類のアナキズムには決定論を突破する自由はないだろう。自由意志とか主体性に自由はあるのか。そのようなものは無い処にこそ自由はあり、それこそがアナキズムの自由なのだ。 ――千坂恭二 :『哲学問答2020・ウィルス塹壕戦』 on Twitter

2021.2.8 mon. link

スペインの労働者がマルクスよりもクロポトキンを好んだのは、前者が難解な言葉で貧困の原因を説く一方で、後者は平易な言葉で何をすべきかを訴えたからだと言われる。貧困に苦しむ労働者が知りたいと思っていたのは、貧困を生み出すメカニズムではなく、貧困に対峙する方法だったのだ。 ――【緊急寄稿】感染症×アナキスト(医療編)/海老原弘子 – アナキズム文献センター

2021.2.6 sat. link

[博海拾贝0324]全班只有一个男生是什么体验! | Funny gifs fails, Best funny pictures, Homies

2021.2.4 thu. link

菊地氏は、アイロニーと笑い、そして哄笑の人だった。それがいつからか、怒りと苛立ちと嘲笑の人になってしまったかのようだ。一概に誰が悪いという話でもないのだろうが、それでもやっぱり、そのことが少しだけ悲しい。 ――木澤佐登志の書評 『次の東京オリンピックが来てしまう前に』(菊地成孔 著) | SUB-ROSA

いち歌い手にすぎないおれのところにすら現実がとめどなく流れ込んできてる。 ――七尾旅人 on Twitter

2021.2.3 wed. link

昨日の朝日新聞らしい。

らてたぺ on Twitter 「Qアノン、ムーの編集者にこき下ろされてて草

虚構耐性ということ。

2021.2.1 sun. link

伊賀 歌舞伎役者の市川三升、本名あらん、それをぬかせ。

三升 本名なくてかなわんや。お江戸根生いの市川流、団十郎とは仮名にて、まことはやっぱり市川団十郎、本名あれば本所二ツ目、お江戸の意気地立川の、談州楼は三升連、焉馬の世話に成田屋の、七代続いた三升に、本名あってたまるものか。誰だと思う、ああ、つがもねえ。 ――鶴屋南北「四天王産湯玉川」


本名? あってないようなものではないか。
演技をする私がいて、それが私だ。
市川団十郎が市川団十郎の役を演じた芝居の最後の場面。

参考:
市川團十郎 (7代目) - Wikipedia
烏亭焉馬 - Wikipedia
二ツ目橋 - 江戸観光案内

上で市川三升(団十郎)に本名をあかせと迫った役者は松本幸四郎。
幸四郎はこの役とは別に鉄門鬼兵衛じつは相馬六郎公連という役を兼ねていて、別の場面で本名を名乗っている。ただし、役の上での本名。

鬼兵 昔は本名というものは、芝居でも隠したものだが、今の世界じゃァそれじゃァいかねえ。誰が怖くって本名を隠すものか。しかし、店頭で六郎公連じゃァ通りが悪いの。