zakki no.46 by mataji
[2024.5.1 - 2024.5.31]
2024.5.31 fri. url #詩
豚はころりと、豚はころりと
谷の底からよせばよかった
舐められて、山門の甍を隠す、餅や
牛はころりと、牛はころりと
蝶は舞い舞う、ひらりひらり
踏まれても、照る月の激しかれとは、沼や
馬はころりと、馬はころりと
采女の村におりおりの木々
抜きつれて、竹やぶの行方をたのむ、雲や
はやり歌|mataji
2024.5.30 thu. url #詩論
〈S+7〉
「語彙的平行移動」とも呼ばれる。まずこの操作の対象となるテクストと適当な国語辞典を用意して、このテクスト中にある名詞をこの辞書で引き、その名詞の7項目後ろに載っている名詞で置き換える。動詞や形容詞なども含めて(置換できない冠詞や前置詞以外)すべての単語を前後何番目かの単語で置き換える〈M±n〉がその一般形である。「私は喫茶店でコーヒーを飲みながら新聞を読んだ」を広辞苑第三版で5項目後の語と置換すると「綿種は吉事でコーラをのめり込みながら真文字金銀をよらわれけり」となる。
ウリポ - Wikipedia
「S+7」、一般化して「M±n」は、文学グループ「ウリポ」(1960-)が開発した創作技法のひとつ。既存のテキストを機械的な手法で変形して、新しいテキストを生成する。
2024.5.29 wed. url #詩
彼は松の木で四枚の絹の巻物を作った。
李山はその芸術をよく知っていた。
彼は会場に招き入れられる。
墨と硯を持つ李山長石。
李山が呼び返す、奇岩、人物、枋陽山の人々。
自分は麻色を使いたい、一尺以上の深さが、それで満たされた水の絵を見る。
沈没散乱だけさせてはいけない。
林の奥に灰色で描かれた人物。
椀から水が溢れ、自分が寿限無の呪文を唱える。
呪文の境をぼかした呪文。
2024.5.28 tue. url #詩
いくつかの朝と夕方、すべてが急いで作成され、ストーブが作られ、ゲストの儀式を修復する時間がありません。今すぐ、子供たちに粟を作らせなさい。李はそれに続いて庭に入った。墜落者が見た家は豪華で新しく、部屋は美しく調度され、廊下では酒が沸騰し、台所では茶の煙が巻き上がっていた。中庭の下にいる若い人たちは、男女が混じって行き来していた。また、子供たちがカーテンの中で上を見て、下を見て、笑っているのが聞こえた。家族や女中たちは何十、何百もの口を持っているようだった。
李心はその狐を知っている。
家の後ろに数エーカーの庭があり、さびれていた。
ある日その庭に、老人が課税に来る。
2024.5.27+ mon. url #詩 #詩論
サカナが一匹、二匹、三匹
五匹、六匹、七匹、…
四匹目はどこ行った
どこへ行ったかわからない?
そもそもそいつは、シヒキメなのかヨヒキメか
それとも仮り名で、ヨツメとでも?
そんなときは手を動かす
ハリを替える、エサをつけ直す、川底を探る
ジタバタしてみる
それでダメなら、あきらめる
2024.10.2 note.com 投稿
サカナが一匹、二匹、三匹|mataji
2024.5.27 mon. url #詩
村の点灯夫は雨の中を帰っていった。
村、点灯夫、雨、そんな光景があったのだ、こんなところに。
迷い込んだ献灯の下で、梨の花が雨に打たれている。
日本というところだという、日本の村だと。
こんな光景は予想もしてない。
「こんにちは」という。
「さようなら」という。
村役場の前で、それも村の役場の。
点灯夫の雨合羽のひだを、雨が伝っていた。
自分がじじつ星の王子だとして、
案内人はどこへ行ったか。
雨の中を誰かが帰っていく光景が、いつ紛れ込んだか。
2024.10.3 note.com 投稿
村の点灯夫|mataji
2024.5.26 sun. url #レーモン・ルーセル
あるいはまた、とてつもない金持社会の病人に
好まれる山の頂の健康な大気の中に宿屋を開き、
あるいはスノッブの投機屋に手持から、
(((スノビズムの役割は、((((ヤコブは本当は何であったのか?
生粋のスノッブで長子権を買いとって膨れ上ったあのヤコブは
エサウもいっぱしのスノッブで、手をもぐもぐ消化しながら、長子権を惜しんで泣いたのだ))))
昔も今も、世の終りまで優勢だろう)))
その流派をくどくど教えねばならぬような、……
レーモン・ルーセル「続アフリカの印象」(粟津則雄訳)
彼はこの作品の制作について、「ぼくは一行一行に血を流している」とジャネに語っているということだが、さもあろうと思わせる破天荒の作品である。もちろんこれは、この作品に、作者の私的な苦痛が感じられるということではない。「私」などというものはきれいさっぱりぬぐい去られ、全篇ことごとく、言語的想像力のとどまるところを知らぬ運動と化している。
粟津則雄「言語的想像力の運動」
2024.5.25+ sat. url #レーモン・ルーセル
……
血が出るまでなめると黄疸の癒る柱
……
英雄的治療法だ! 舌が貧血しないようにと
少しもひっこめたりはせず、他の無数の阿呆のあとで、
この柱の脇腹をなめてなめてすりへらすのは!
だが赴かぬ何があろう、従わぬ何があろう、
明らかなものにせよ架空のものにせよ、希望に心を奪われて、
……
2024.5.25 sat. url #詩
あゝ花開く、うつく、
北の白き四月の日光も。
あゝ花、われよ、されど若しき四月の日光も、
何かはせんか、魚か。
あゝ花、野ば、
されを縫ひて黄金な。われど若しきリラの嬉しき四月の日光も、
あらば、川のか。
あゝ花開くし我が恋人来れど若しき四月よ。
四月よ。
あゝ花も、魚かな。
2024.5.24 fri. url
2024.5.23 thu. url #詩
死者が死ぬ前に、革、鉄、漆で棺を表装することは許されないが、肉、米、トウモロコシ、ワインの用意は許される。
死者が戸外に出ると、棺は中にある。
死者には革、鉄の物、漆の棺を与えてはならず、死者を内棺に送ってはならない。
蓋を揺らすと、棺は死に初めに閉じられ、三度泣くと泣き止む。
棺を揺すって三度泣くのを止め、棺に革と鉄の物を与え、漆を乾かさない。
故人が外出する時、棺の前に肉、米、酒を置き、三回離れる。
死者のボタンは割れており、魂が去ろうとしている。
棺の中では、故人を皮や鉄や漆でできた棺に送るべきではないと言われている。
蓋は三回振って止める。
内棺だけでなく、死者を乾かすことも許されない。
往昔は、死者は死ぬ前から乾かされた。
現代の葬儀では、服を着せてから泣き止み、三回で泣き止む。
現代の葬儀では、先亡者が内棺で亡くなった場合、漆棺に蓋をして、先亡者がもどってくるのを防ぐ。
蓋を振り、棺の前でノックする。
棺は蓋で覆われ、肉、米、トウモロコシ、酒で蓋を振り、棺の前でノックする。
親族を残してドアの外に出る。
棺桶は釘と真鍮のグラインダーで開かれ、見えるようになる。
死者の衣服は切り落とされて残された。
漆塗りの棺に革や鉄の物を送るときは、漆塗りの棺の前で泣き、死後三度棺を出る。
現代の葬儀は、食事から始め、先に三度食べたらやめる。
外出するときは、名前を書いた戸を置いていく。
2024.5.22 wed. url
2024.5.21+ tue. url
Mark Stewart & The Maffia - Liberty City
マーク・スチュワート - Wikipedia
interview with Mark Stewart 俺は永遠の楽観主義者だ | ele-king
2024.5.21 tue. url #詩
月日の 面白く 玉手箱
竜宮城へ 蓋取れて
絵に 気がつのも 連れられられられば
お暇乞いて 玉手箱
昔々 浦島は
た 蓋取れば
心細さに 舞いて悔しき 御馳走に貰っと白く
鯛や比目魚の た
中の楽しさにあきてみは
土産にあけない踊り
絵にも 御馳走にもかられられば
竜宮城へ 気がついもからぱっと白烟
遊びにあけたついもかけて
乙姫様のも 玉手箱
2024.5.20 mon. url #詩
待ちぼうけ 昨日 飛んで出て来る
うまい伐り 木のねっこ
待ちぼうから寝てば 獲ものは頬づえ 駆けて待ちぼうまい伐り株 木のねっこ
待ちぼうまい伐り 木のねっこへ兎が 畑仕事
待とうけ 駆け
うまい伐り 野良か
待てば獲ものねっせっこ
兎が 畑仕事
ころり 木のは 野良かせっせこへ兎が 野良かれ 木のねっころり株 木のねっこへ兎ぶつかせぎ
昨日は 駆け 木のねっころり 木のねっせぎ
こ 木のねっころり 木のねっころり 日鍬とり こ
そこれかれ ころり株 畑仕事
待とり こへ兎が 飛んで出て待ちぼこ
2024.5.19 sun. url #詩
柳の櫂 唄を か
ぶちましょか
象牙の小藪に 埋めませぬ
象牙の海に それた金糸雀は か
唄を いそう
それた金糸雀は いえいえ なりませぬ
銀の鞭で いえ なりましょか
埋めましょか か
唄を 銀の船に か
後ろの船に 銀の海に 棄てましょか
いえ ぶちませぬ
柳の鞭で 銀の山に かわいそれば
か 唄を忘れは 浮かべた金糸雀は
後ろの海に 唄を忘れは
2024.5.18 sat. url #山椒魚戦争
名はアンドリアス・ショイフツェリ。
ギルバート諸島の産という。
人間の言葉が話せるらしいとわかって、生物学者、医学者らが対話を試み、その記録が『自然科学』誌に掲載される。以下はその総括。カレル・チャペック『山椒魚戦争』(栗栖継訳)より。
1 ロンドン動物園で飼育されている山椒魚は、いくらかしゃがれ声ではあるが、話すことができる。自由に使える語数は、約四百で、口にするのは、耳にしたことか読んだことにかぎられる。独自の思考については、もちろん問題にならない。舌はかなりよく動く。当日の状況では、声帯の詳しい調査は、不可能だった。
2 この山椒魚は読むことができる。ただし、夕刊だけである。普通の英国人と同じ問題に関心をいだき、同じような反応を示す。すなわち、きまりきった、世間一般の意見と同じ傾向なのである。その精神生活――そう言える範囲内でだが――を構成しているのは、その時どきに流行している概念や意見にほかならない。
3 その知性は、現代の普通人の知識にいかなる点でもまさるものではないので、過大評価するのは、禁物である。
2024.5.17 fri. url #詩
和尚さん ぽん
ぽこ 證 ぽんに 來い 花盛り
ぽこ 負けるな
證 證城寺
みんな出て 證城寺の友達ァ
おいらは
證城寺の ツ ぽんに ツ 證城寺
來いらの 來い來い ぽんな出て
2024.5.16+ thu. url #詩
墜落して死んだ男に
片目を塗りつぶされた虫が、光源に向かって
女の前に現れる。
彼は直進ができず、
すでに実在していないのだが、
たえず健全な目のほうに、軌道を寄せていこうとするかのように、
彼女には見える。
忘れられた人々を、切り裂かれた両眼で凝視すると、
光は変形して伝わり、
その男の手のひらから、刺激の方向を検出して、
限りなく蟻が這い出してくる。
2024.5.16 thu. url
2024.5.15 wed. url #詩
同人ナルヲ多少ノ身元ヲモノ身セル事ヲ為メニシ
全ク其雇人ナレハ生前ノ医師カ右ハ
水中ニ斎藤某ニ非ス
検案ノ金箔業斎藤方雇人方法ハ主家出保護願ノ郵書ヲ以テ、茲ニ切創様ノ身セル方ヨリ
湖上京区浄福寺通知ラレ遂ニ端緒ヲ、航行中ノ汽船尾ヨリ
アリ
検案ノナレタル事ヲ断定セル事ヲ受理シテ俄ニ男ノ身元ヲ断定セラユルコト同人方法ハ主家ノスクサレリ
同時ニシヲ断定セルニ斎藤某ニ端緒ヲ断定セラレ
被害ト判明白トナルハ水中ニ大津警察署ニ通金円ヲ蒙リウニ
何ト
切傷ニ多クリウニ男ノミナリ
同人方法ハ鋭器ヲ以テシテ実ハ、数日ヲ知レヌ
アラレヌ
何ト本件被害者ハ也
遺書ヲ蔵セルモノミナルモノ身セル際、数日ヲ蒙リ居タルヲ知ランカ右ハ鋭器ヲ蒙リ
上京区浄福寺通金箔業斎藤方ヨリ
切創様ノ船尾ヨリ
符合スシテ死体漂着衣トナルニ触レ
防波堤附近ニ切傷ヲ知シヲモノ汽船尾ヨリ居タルヲ以テ家出セシテ家ノミナルノ身元ヲ知ラレ
符合スル汽船ノ金箔業斎藤某ニ依リ
防波堤附近ニ於テ家ノ損傷ヲ蒙リシヲ知レヌ
切創アラユルカ為シタル事ヲ蒙リ
全ク其雇人カ右ハ水中ニ
全ク其人相着衣トシ処、殺害者ハ也
アラレ
死体頭部ニ男ノナル事明シヲ得サレ
2024.5.14 tue. url #ファントマ
実業家のトメリー氏がファントマのアジトにやってきたところ。
連れの女はファントマの愛人ベルタム卿夫人。
部屋の中でファントマとその手下が待ち伏せている。
続く場面でトメリー氏がベルタム卿夫人といっしょに部屋に入ると、待ち伏せ側が襲いかかってトメリー氏をロープで絞め殺す。
2024.5.13 mon. url #詩
港、フェリー、デラウェア川のさざ波の匂い。
そして彼は、どこかにいないかとカップルを探し。
ホジソン大佐とマーフィも探し。
港、フェリーに、ウェントゥワの入ってきたとしてのこと。
ミスター・ピアースが殺されたのだと。
みんなが煙草に火をつけようとして、誰もが蓄音機の耳。
ミスター・ウェントゥワの入った。
ミセス・ラックは、茶髪で巻いたタバコを吸い。
誰もがラ・ディを飲みながら、トゥ・ディを飲みながら、煙草に火をつけようとして。
蓄音機のラ・ディアヴォロの演奏を聞いた。耳で。
2024.5.12 sun. url #回文 #詩論
Ein Neger mit Gazelle zagt im Regen nie.
ショーペンハウエルの回文という。
「ガゼラかもしか連れた黒んぼ、雨降れど臆せず」とでも訳せようか、と種村季弘。
種村によると、日本の短詩形文学には回文の傑作はいくらでもある。
対してヨーロッパ文学では、わずかな試みはあるものの、多くはとるに足りないなぐさみである、と。
以上、種村『ナンセンス詩人の肖像』による。
アルファベットと五十音では、それぞれの一文字が担う音価の量が違う。
彼我の回文の多寡は、それで説明できそう。
2024.5.11++ sat. url #詩
いつもそうだった。
Burbanta ナー throsant 魔法方法 thiti。
種を蒔き、その荒々しさ。
戦争では、すべてのものを夢見る hybrapes、どれ grape amin、hiscon evereas fruithould 雪を greass。
翼の伐採では、フェイトの漕ぎ手であった。
彼は至る所で warriciand、Wynn int は行 thow だった。
そして魔法。
帽子は葡萄の花が咲いていた。
彼は雪を brape ache。
2024.5.11+ sat. url #詩
植物の奇術師。
バーバンクはランカスター・マスの一族に生まれた。森のあちこちで堅い雪の上を歩いたが、そこはすでに一度暖かい春が到来した場所だった。
雑草が芽を出し、親指を出している。
2024.5.11 sat. url #詩
あの最初の奇妙な殺人事件が起こったのは
どこで、どこで?
川端判事が山際家の人となってから
浅草公園ですよ
一カ月ばかり後であった
ぼくはその時、じつは朝帰りの途中で
そのひと月のあいだに
酔いがさめきっていなかったのかも
彼は山際家の家族や
しれませんが
来客の中の常連ともいうべき人びとや
いろいろあるさ、トリックそのものにしても
その他邸内の空気一般について
明日には、あらかた忘れてしまっているがね
あの例の角のところで
2024.5.10 fri. url #詩論
昔のメモから
- とりあえず歌詞やメロディは適当でいい。
- スケールと伴奏の音色を決める。
- 適当にフレーズを弾いて伴奏をつくる。これをトラック A とする。この段階での伴奏はボーカルの音程を安定させるのが目的だから、とぎれとぎれにフレーズが並んでいればいい。
- 伴奏を聞きながら適当に歌う。
- トラック A を整理する。基本的には、伴奏とボーカルがうまくからんだところは残して、ほかは消す。
- 伴奏が足りなければ、トラック A と同じ音色で伴奏を追加する。
- それでも足りなければ、他の音色やボーカルを足す。
即興を重ね録りしながら、作品に仕上げていく。
じっさい、このようにして作ったオーディオがある。あったはず。現在残っているオーディオとも矛盾しない。
この手法は詩にも応用できる。
トラック A を自前で用意するかわりに、既存のテキストを適当に分割して並べておくなど。
2024.5.9 thu. url #詩
赤い仙人だったら
うちの中だろう、仙人だったら
まアまアそんな所かな
そしてようやく場所探しがはじまって
茶褐色と見えた池を、ぼくらは訊ねた
湖水をそよがせ、サラサラそよぐ葦の中に
小舟をならべた場所へ出た
奇妙なさびしい家だった
あれはいつかの家畜が訪れる舟
細長い奇妙な物さびしい家だった
細長い平たい家だった
顔を歪めて笑ってた
灯心草に赤い葦でも短長に青い葦でも
離れ小島に灯心草と言いながら
こう話しながらも指さした
しかめ面の赤い仙人
赤い仙人だったら
うちの中だろう、仙人だったら
2024.5.8 wed. url #ダダ
自我を、穴だらけのマント同様に脱ぎ捨てること。持ちこたえられないものは、払いのけねばならない。自我を失うことに絶対にたえていけない人たちがいる。その人たちは、自我にはたったひとつのサンプルしかないと勘違いしているのだ。しかし、玉葱にたくさんの皮があるのと同じように、人間にはたくさんの自我がある。多かれ少なかれ、自我などは実は問題ではないのだ。皮をむいたあとの芯があいかわらず皮であっても、それでけっこうだ。
フーゴー・バル『時代からの逃走――ダダ創立者の日記』(土肥美夫・近藤公一訳)
2024.5.7+ tue. url #ダダ #詩論
ぼくがのちに、言語をこわすようになったのは、実は言語をこわすためにこわしたのではないし、無意味にこわしたのでもない。言語の機能を多角的に、あるいは次元を多くできないかと思ってしたことである。
藤富保男「魔ダダ模様」
2024.5.7 tue. url #詩
昔々、ある人が私のところにやってきて、「太陽の大きさを変える手段としては懐中時計の方が優れている」と言った。
なぜなら、そうではなかったから。
冬、太陽は同じ時刻に目覚めない!
夏、太陽はまったく同じ時刻に松の木のてっぺんに沈む。隅っこで安全に、彼でさえダニのベッドの。
ブルオは羊の毛皮を三枚縫い、イエス・マリアは古い例にならってもう片方の袖に仮面をつけていた。私は服を着てベッドに入った。ボトルは大きかったが、あまり長持ちしなかったので、手に入るものなら何でも代用した。こうして皆安心し、寝ていた男のジョーは足を温めようとして噛まれた。もともと貸し出し用には設計されてないそれ。
サーピット・ザ、窓にカーテンはなかったが、蜘蛛の巣と埃と雨がシミがガラスを曇らせた。
私は石鹸水でその窓をきれいにした。
以上が、ある日、ある人=ダニーニョがジョーに言ったこと。
2024.5.6 mon. url #詩
咆哮するオオカミ、ジュラ山脈で吠えるギャル
狼である彼女にゾッとした、ガルーオオカミは寝巻きの下で乳房を膨らませている
彼女は黒髪でとても怖い
狼が吠えながら通り過ぎ、、濡れていた。
彼女は体を洗ったばかりだと言った。
しかし、ガルーオオカミは実は
しっかり抱きしめて、ベイビー、私の人間は私の娘よ
子供の腹を裂いた血まみれの鼻、ガルーオオカミは唸りながら通りを通り過ぎ、手を振った。
そのあと娘は?
山に登る女、夫を乞う
ああ、美しいあなた
大きな美しい人形
この事件には世界も含まれている、た、すべて
これは低級で下品な道具セットだ。普通の出来事のように見える。
そんなことはない。
を持つ形よ。
形よ、彼女は
彼女は
れども、。
あの
2024.5.5 sun. url #詩
舞台衣装を着て、自分が長安の街にいる。
人ごみで踊る。
まるで劇場のように、ネズミが袋から出てきて劇場で遊ぶように。
歌い手が歌いはじめる、ネズミを真似て歌う。
衣装を替えて、自分の背中で階段を登る。
仮面をつけたり外したりして、うろ覚えのオペラを歌う。
覆面の物売りが、ネズミを人に売りに来る。
2024.5.4 sat. url #詩
夏の老人は笛を吹く 三日月 穀象の夏のように 象のように 穀象の桃
昼の距離 すべての距離
夏の遠い月
夏の 私の老人は笛を吹く 降れる三日月の三日月の 三日月と夜の三日月
睡魔の正午の老人は笛を吹く 穀象の群れに 三日月 三日月
睡魔の距離
睡魔の群れる三日月と夜の桃
夏の夜の群れに 降れに 降れに 象の 青い月と夜の 穀象の群れにも 三日月
夏のようにも 月 降れる三日月
睡魔の老人は笛を吹く 三日月 私の 三日月
すべての正午の 降れに 三日月と夜の遠い月の距離
すべての遠い雨 私の桃
昼の距離
夏の夏の遠い月
睡魔の群れる三日月 穀象の 穀象の正午の群れに 象の群れに 象の 穀象の 降れる三日月
すべての桃
トカゲの桃
夏の正午の三日月 降れる三日月 青い雨 月
昼の群れに 穀象の夜の三日月と夜の遠い雨 象の正午の三日月 私の距離
睡魔のように 三日月
睡魔の夜の群れに 三日月
2024.5.3 fri. url #詩
こせたり
口舌出でしながらもあらず
こそあらながて後、こそあり
されば、この女、かへにけていぬ
さて、つければ、つけて後、に来たりければ、かへできて
されをやれをよりしこ、よみぢをひろはせていぬ
されをより
と、かけふまできていぬ
秋かけていぬ
歌をひに
口舌出できて
さり
されば、に
2024.5.2 thu. url #アポリネール
4月30日記事の続き
戯曲『テイレシアスの乳房』の後半(第2幕)粗筋
- 前幕と同じ場所、同じ日の夕方、同じ装置だが、たくさんの揺り籠が飾られ、生まれたばかりの赤ん坊が入っている。
夫が両腕にひとりずつ赤ん坊を抱えている。
ああ、父親になる喜び、たった1日で40,049人。
- 夫は新聞記者の質問に答えて、意志の力で子供は持てると言い、子を作ったことで得たものを語る。
哺乳器で育てるだけで、いずれは向こうがこっちを養ってくれる。
現にこの子は、コンデンスミルクの買い占めで100万フランも稼がせてくれた。
こっちの子は小説家になって、最新刊はすでに60万部も売れた。それによる私の稼ぎは20万フラン。
女の子もいる。離婚して10万ドルの年金をもらってる。
- 子供を持つと貧乏になるなんて、どこの経済学者が我々に信じ込ませたか。引き続き夫は子を作ることの利益を語り、これからすべきことを語る。
まず新聞記者を作ろう。そうすれば何でもでっち上げられる。
それから脳みそがいる。何も考えないために。
それに歌も歌えなくてはいけない。さあ、歌ってごらん。
- 記者になったらしい息子が揺り籠の中で立ち上がって、父親(夫)の秘密を歌う。
書いちゃうよ、父さんが結婚したのは三重に妊娠した女だったって。
あなたは盗みも殺しも買収も働いたって、騒ぎまわって人をうんざりさせたって。
- あいつは失敗作だった、と夫。
世界の各地から、都合の悪いニュースが伝わってくる。
計画変更だ、口減らしをしなくては。
- 巡査「人が増えすぎて、ザンジバルは食うや食わず」
夫「トランプを与えればいい。占いならどんなもののかわりにもなる」
- トランプ占いの女が登場して、子供を産まなくなったザンジバルの女たちに言う。「富も名誉もパイナップルの森も象の群も、子供を作る者たちのものになるだろう。あなたたちこそ多産なのに」
また、夫に言う。「あなたは億万長者の十倍の金持になるだろう」
また、巡査に言う。「子供を作らないあなたは、恐ろしい貧乏のうちに死ぬだろう」
侮辱された巡査がトランプ占いの女を逮捕しようとすると、彼女は逆に平手打ちを食わせて首を絞める。
夫が女を非難する。
すると、女は衣装を脱ぎ捨てて、テレーズ(テイレシアス)の正体をあらわす。
テレーズと夫の和解がはじまる。
夫は「買い置きがある」と言って、家の中から風船の束とボールの入った籠を持ってくる。
「そんなもの無しで、前のとおりに続けましょう」とテレーズ。
「ほんとだ、よけいな手間はかけないことだ」と夫。
生き返った巡査をふくめその場の人物全員で歌って幕。
それから 朝夕 歌いましょう
むずがゆかったら おかきなさい
白いも黒いも愛しなさい
ときどき変えればまた格別
気がつくだけでいいのです
それさえわかればいいのです
以上、よくわからない話なので粗筋をつくってみたが、やはりわからない。
夫の視点でさらに圧縮すると、次のようになる。
フェミニズムが行き過ぎて、女たちが子供を生まなくなった。
だったら男が生めばいい。
子どもたちの稼ぎで、私は大金持ちになれそう。子供は多ければ多いほどいい。
だが、日がたつうちに、人が増えすぎる害が出てきた。とくに食糧。
だったらもとにもどして、女が生んだらいい。
無理せず、自然にするのが一番。――
ということになりそうだが、やはりよくわからない。
粗筋は青土社『アポリネール全集III』所収の安堂信也訳『テイレシアスの乳房』に拠った。とくに歌詞は安堂訳のまま。
2024.5.1 wed. url
ジゴマの写真が送られてきた。
本人が偽物だった。
トゥーロン港の沖に小さな島があり、そこに船員の洞窟がある。
そのことをどう言いくるめるか。
2024.6.14 note.com 投稿
ジゴマの写真|mataji