Magazine Oi!
トマトは種を抜いてから食え
なんて今ごろ教えられても
すでにトマトは、腹の中で芽を出して
根も張って、とっくに手遅れ
- トマト男
2016-01-26
東京ドーム
夜11時過ぎ。地下鉄の後楽園駅にむかって東京ドームの脇を走ってる。
猫が自分に並行して走ってる。自分が止まると猫も止まる。走りだすと猫も走りだす。止まったり走ったり、いつまで繰り返しても終わらない。

ドームがだんだん低くなってくる。
東京ドームが建設時より2〜3メートル低くなっているのは聞いている。自重で沈み込んでいるのだ。だけど目下の凹み具合はあきらかに加速している。
ふと見ると行きつけの中華料理屋の親爺が立っている。
「弱りました」と親爺が言う。
親爺自身が弱ってるのか、それともドームの建物が弱っているというのか。どちらともわからないから、「そうだね」とだけ相槌をうつ。

いつまで走っても後楽園駅に近づかない。
一歩一歩は駅に近づいているが、トータルではちっとも近づかない。
もしかすると、こいつのせいか──と走りながら猫をにらむ。猫はそっぽを向く。
こいつが何かいたずらをしてるのではないか。
それなら猫を追い払うのが先だ。そう思って追いかけると猫は逃げかかるが、けっきょく距離を保ってついてくる。
しかたないから、また駅にむかって走りはじめる。
終電が近い。あいかわらず猫がついてくる。中華の親爺もまだそばにいる。