Magazine Oi!
トマトは種を抜いてから食え
なんて今ごろ教えられても
すでにトマトは、腹の中で芽を出して
根も張って、とっくに手遅れ
- トマト男
2016-06-23
アニマール
ずっと以前からアニマールというものを探していた。
20年ほどしてそれらしいものが出てきた。
けれども、そのアニマールには実体がなく、見ることもさわることもできない。かりにこれが間違いなくアニマールだとしても、探し求めていたアニマールではないのではないか。あるいは、アニマールなるものを探すこと自体が間違っていたのかも。自分が欲しかったのは別の何かではないのか。
「もしかして、これか?」
と誰かが40ページほどのマンガ本を見せてくれる。
毛筆で描かれている。狼が何匹も出てくるから、これがアニマル≒アニマールなのかもしれないが、ぱらぱらめくって見せてくれただけなので、内容まで把握できない。

アニマールというものが本ならば、図書館で調べられないか。
そう考えて図書館を探す。
遊歩道を兼ねた長くて広い図書館。
二人掛けのソファが捨てられている。いや、設置されているのか。カジュアルだけどよそ行きといった服装の女性が二人、ソファに掛けて楽しそうにおしゃべりをしている。
その背後を、両手で開いた本を見ながら男性ジョガーが走っている。
知り合いなのだろう、ソファの二人がジョガーに気づいて手を振る。男性ジョガーも開いた本を振ってあいさつを返す。
ジョガーはやたら腿を高く振り上げるが、さまになってない。たぶん彼が見ているのはランニングの教科書。その本に書いてあることを真似てるのだろう。でも、運動は苦手っぽい。
ねんのため、ジョガーを呼び止めてきいてみる。
「それ、アニマール?」
男はきょとんとしている。たぶん、その本もアニマールではない。

アニマールは今でも入手できる本なのか。いちおう出版された本なのか、それとも手書きで1部だけ作られたものなのか。図書館にもなさそうだし、さっきのマンガ本もそれを見せてくれた誰かも消えてしまって、確かめることができない。