Magazine Oi!
2016-09-29
ラクダの夢 ver.2
ラクダになった(つもりの)自分。
自分がラクダであるとして、そのラクダが見る夢を見ようとしている。
ところが眠り込むと人間の自覚にもどってしまうらしく、夢にラクダが出てくる。
「ちがうんだよ」とつぶやく。
夢にラクダなんか出てきても嬉しくない。
自分が見たいのは自分がラクダになった夢であって、ラクダの出てくる夢ではない。

なんとなく空を見上げる。
すると星条旗を広げたような夜空。赤、青、黄の色の組み合わせ。
ときおりやわらかい線を描いて星が流れる。
悪くない空だ。でも、これは人間の目に映る空ではない。もしかするとラクダの見る空なのではないか。それなら、がっかりするのはまだ早い。望んだとおり自分もラクダになりかけて、ラクダの見る夢を見ているのでは。
だが、自分の身体をながめまわすと、あいかわらず人間のまま。
またひとつ星が流れる。
人間の目で星のゆくえを追う自分。
空だけがラクダの空で、自分は人間のまま置き去り。
なんだかつらい。つらくて涙がこぼれる。ラクダになれないって、こんな悲しいことだったのか。

あたりは片側板塀の住宅街。
曲がり角の電柱の陰からラクダが首を出している。
どう見てもそのラクダは自分ではない。
「ふざけたやつだ」
と思う。抗議したい気持がある。ラクダに対して?