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2009-07-09
帰ってこい HotWired
「月刊アスキー」というのがあった。
「Internet Magazine」もあった。
どちらも、自分にとっては総合誌あるいは総合カルチャー誌みたいなメディアだった。

僕が月刊アスキーを読んでいて楽しかったのは、まず広告がけっこう楽しくて、そのあとニュースがあって、特集があって、疲れてきたところになぜか哲学者が MS-DOS をどう使うか、みたいな話が載っていて、スーパーコンピュータがどうのとかニューラルネットワークがどうのって話が載ってて。ニューラルネットワークっていう言葉自体を知らなかったらそもそも興味のもちようがないし、哲学なんてさらに縁遠いと思うんですけど、そうやって幕の内弁当的に作られていることで、「結構面白そうじゃない」ということになる。僕はそれが雑誌の重要な機能だと思っています。
- 第参回天下一カウボーイ大会対談 古川享 x 遠藤諭 x 清水亮:魂を継ぐものたち・その7

月刊アスキーも Internet Magazine も、その後ビジネス誌に衣替えした。ビジネスはどうもなんで、両誌ともわたしにとっての総合誌ではなくなってしまった。

ネットでは HotWired Japan やオリジナルの HotWired があった。



音楽や美術から、政治、経済、プログラミング、ウェブデザインまで広く扱うサイトだったが、これも2006年に閉鎖された。
Internet Magazine がビジネス誌に変わったのが2005年。
月刊アスキーがビジネスに主軸を移したのが2006年。
このへんで総合誌の時代が終わったのではないか。
今度休刊を発表した STUDIO VOICE とか、紙の世界におけるカルチャー誌、サブカルチャー誌のあいつぐ廃刊も、同じ流れの続きだろう。

で、Internet Magazine や月刊アスキーの読者や HotWired を見ていた人たちが、今どうしてるかというと、フィードリーダーや Tumblr を使って各自が自分のためのウェブマガジンを運営している。個人が総合誌を運営できるというのは、それ自体とても楽しいことだが、効率の上ではどうか。読者にとっても効率は悪いし、運営者本人にとっても時間がかかりすぎる。やはりどこかに HotWired ようなサイトがあって、そういうのを二、三マークしておいて、そこを基点にネットをウォッチするみたいなメディア生活ができるといいんじゃないかと思う。ネットに時間取られすぎてるし。

新聞社サイトとか IT 関連サイトとか総合的なサイトは多いし、個人サイトでも総合誌的な感じのところはあるが、もうひとつしっくりこない。広く(かつ浅くということになるだろうが)自分の関心事をすくって見せてくれるようなサイトが欲しい。力があれば、自分でやってみたいとも思ったりする。