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2013-01-21
DOT言語で読む風太郎忍法帖 [3] 忍者本多佐渡守
「忍者本多佐渡守」は中編。原稿用紙で120枚ほど。徳川政権成立史。
本多正信が土井利勝に政治のありかたを教える。言葉で教えるのではなく、実際にやってみせる。
物語は土井利勝の視点で語られる。

大状況は徳川 vs 豊臣だが、この物語では副次的。
本多佐渡のテーマは大久保忠隣を失脚させること、およびその過程を見せて土井大炊を育てることにある。
大久保は思い上がっている。このままでは徳川家のためにならない。
「さて、いかにして相模を消すか、わしのやりようをこれより大炊どのに相伝いたそう」
と本多佐渡による土井大炊の政治家教育がはじまる。

実働部隊は佐渡守子飼いの根来忍者、お蓮、お万、お才、波太郎の姉弟。
飼い主に逆らわない犬のような存在である。
彼らは命じられれば死ぬ。
お蓮はすでに3年前から大久保長安の愛妾となっている。
徳川家への大久保忠隣の忠誠心は疑いない。そういう人物を消すには工夫がいる。まず縁戚の大久保長安を消す。
その工作が3年前に開始されていた。そのことを土井大炊は不思議に思う。家康が忠隣の排除を決意したのは最近のことなのに。