- Pinterest気球に乗って犬がお…
気球に乗って犬がおりてくる。
穴に落ちる。
人間の男と腕を組んで去る。
それだけのストーリーであるらしい。
自分に向いた仕事はなんだろう、
と犬はときどき考える。
答は決まっている。役人である。それも下級の。
定時に出勤して、定時に帰る。
決まった書式で書類を作って、間違えることがない。
現にそういう仕事をしている。市役所の職員なのである。
たまに書類を書きそこなうことがある。
そんなときは気持のほぐれるのを感じる。
だからわざと間違える。
自分にいちばん向いた仕事なのに向いてない。
とはいえ、生きていれば気持のほぐれる一日もある。
丘の上に見えたのは絞首台であるらしい。