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2014-09-28
犬の仕事


気球に乗って犬がおりてくる。
穴に落ちる。
人間の男と腕を組んで去る。
それだけのストーリーであるらしい。

脳天気に見えても、犬にだって内面はある。
自分に向いた仕事はなんだろう。
そう考えることがある。
でも答は決まっている。役人である。それも下級の。
定時に出勤して、定時に帰る。
決まった書式で書類を作って、間違えることがない。
ルールがある。書式に従い手順に従っているかぎり、誤ることはない。
現にそういう仕事をしている。市役所の職員なのである。
たまに書類を書きそこなうことがある。
そんなときは気持がほぐれる。
だからわざと間違える。
自分に向いた仕事なのに向いてない。

とはいえ、生きていれば愉快な一日もある。
今日がそんな日だった。
丘の上に見えたのは絞首台であるらしい。

挿絵 - Pin by Europeana on Beautiful Books & Prints | Pinterest