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2017-01-23
それは恋
ちょっと寒くて
こころぼそくて
雨のしとしと降る晩に
恋は曲者
忍び寄る

そうなのよ
忍び寄ったのは私だって
みんながいうけど
忍び寄ったのは私じゃない
忍び寄ったのは
それは


こぬか雨降る春の夜に
陰火を一つ、二つ、三つ
私が連れていたって
ひとはいうけど
私は連れてなんかいなかった
連れられていたのが


恋の陰火に連れられて
やさしい雨の降る道を
傘をくるくる急ぎ足
いいえ
私は
急いでなんかいなかった
傘も回していなかった
急いでいたのは
はしゃいでいたのは
それは

私ではありません

そぼ降る夜道をひっそりと
片手に傘
ふるえる胸を
片手できつく抱きしめて
たどっていたのは

ええ、私です

でも、それは
いとしいお方と逢えるのかとか
嫌われてるとか愛されてるとか
そんなことではなかったわ
私がふるえていたのは
ただ寒かったから
恋のせいではありません
恋にふるえていたのは
雨の夜の
ちろちろ燃える
陰火だけ
それは
私ではありません