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2019-05-23
バビロニアでも天は低いところにあったこと
天蓋は鳥類の翔けのぼれる高さだった、とバビロニア起源の伝承にある。

バビロニアの僧侶ベロスース(Berosus)の言葉として伝えられているところでは『始めにはすべてが闇と水であった』ことになっている。(略)その有り合わせた材料から神エロヒーム(Elohim)が天と地とを創造した(あるいは、本当の意味では、形成した)のである。
エロヒームは水を分けた。その上なるものは天の中に封じ込められ、しかしてその下なるものの中に地が置かれた。地は平坦、あるいは半球形であって、その水の上に浮んでいるものと考えられていた。その上方には不動な天の穹窿が横たわり、それに星辰が固定されていた。しかしこの天蓋までの高さは余り高いものではなく、鳥類はそこまで翔け昇り、それに沿うて飛行することができるのである。 ――スワンテ・アウグスト・アーレニウス Svante August Arrhenius 寺田寅彦訳 宇宙の始まり

人々が天までとどく塔を建てようとして神の怒りを招いたという「バベルの塔」の伝説も、天の高さを低く見積もったから生まれたはず。困難であるにしても、高い塔を立てればとどくほどの距離に天界はあると見たから、塔の建設が企てられた。


バベルの塔(バベルのとう、ヘブライ語: מגדל בבל)は、旧約聖書の「創世記」中に登場する巨大な塔。
神話とする説が支配的だが、一部の研究者は紀元前6世紀のバビロンのマルドゥク神殿に築かれたエ・テメン・アン・キのジッグラト(聖塔)の遺跡と関連づけた説を提唱する。
実現不可能な天に届く塔を建設しようとして、崩れてしまったといわれることにちなんで、空想的で実現不可能な計画を比喩的に「バベルの塔」という。 ――バベルの塔 - Wikipedia