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2019-06-08
音に容積のあること
どのような感覚にも一定の空間性が付帯している。
したがって感覚の容積について語りうる。
灼熱した面や照らし出された部屋などの印象を、空間の具現化と呼ぶことができる。
音響は非空間的な感覚の例として挙げられるのが通例だが、低い音は高い音より容積が大きく感じられる。
不完全であるにせよ音源の位置確定が可能であることから、音響感覚と空間感覚との間にも関係のあることがわかる。
音源の位置確定は、主として――小さな容積とはっきり定まった場所を持つ――高音の媒介によってなされる。

などのことを、先人の説や自身の体験からエルンスト・マッハが言っている(野家啓一編訳『時間と空間』所収「計測的空間に対する生理学的空間」)。音響に容積という属性を見たのがおもしろい。音源の位置確定に関することなどとあわせて、わりに容易に理論化できるのではないか。