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2019-09-14
装置というものは、われわれの仕事や生活のスタイル、要するにわれわれをも決めてしまう
ギュンター・アンダース著『時代おくれの人間』上(青木隆嘉訳)から。
アンダース(1902-1992)はポーランド生まれで、フランス、アメリカなどに移り住んだ哲学者。ジャーナリスト、工場労働者なども経験。

装置というものは、あくまでも事実であり、しかも、われわれを型にはめこむ事実なのだ。どんな目的に装置を使おうが、装置はわれわれを型にはめこんでしまうのが現実であって、この現実は、装置を文字通り「手段」にしてしまえば、この世から取り除けるというようなものではない。

原著の出版は1980年頃、書かれたのは1950年代前半か。
ここでいう「装置」は現在のインターネットにもあてはまる。ある意味世間と同じ規模に拡大してわれわれを囲い込み、われわれの側が順応すべき環境と化したネット。
その後普及した携帯電話やスマホも同じ。便利な手段にすぎないはずであったものが、身辺から遠ざけることのできない枷と化し、われわれの日常を制御する司令塔のポジションに。

装置は、われわれが使ったり使わなかったりする物ではない。固有の構造や機能によって、装置は、その使い方が決まっているだけでなく、われわれの仕事や生活のスタイル、要するにわれわれをも決めてしまうのである。