アニミズムも科学であること
アニミズム(擬人主義)はそれ自体としては何ら認識上の誤りではない。もしこれが誤りだということになれば、類推なるものはすべて誤りだといわねばなるまい。 ――エルンスト・マッハ『感覚の分析』第5章「物理学と生物学、因果性と目的論」(須藤吾之助、廣松渉訳)
アニミズムも認識のうち、したがって科学のうちとマッハは見ている。
ただし、無条件のアニミズム肯定ではない。物理学的法則がみつかるまではとりあえずアニミズムを肯定するしかない。とくに生物学におけるごとく、目的論的な解釈を排除できない段階では。
アリストテレスがすでに動力因と目的因すなわち目的とを区別している。物理学の領域に属する諸現象は徹頭徹尾動力因によって規定されており、生物学のそれは目的によっても規定されているということが前提されたのである。例えば、物体の加速度はもっぱら動力因によって――その瞬間の状態、引力、磁力、電気をもつ他の物体の現存によって――規定される。しかるに固有の形相のもとで行われる動植物の成長発育だとか、動物の本能的な行動だとかは、現在のところ、動力因だけでは解明できないのであって、特定の生活環境のもとにおける自己保存という目的によって――少なくとも部分的に――われわれはそれを了解する。生物学の領域では目的概念を適用することに対してどのような理論上の懸念をいだこうとも、「因果論的」考察によってはまだきわめて不充分な解明しか与えられない領域において、目的論的考察が供する導きの糸をないがしろにするのは理に悖ること明らかである。 ――同前