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2019-11-21
モノーの「アニミズム」は心理学経由か
タイラーの「アニミズム」。
アニミズム(汎霊説)とは山や風、海や川といった全てのものに、物理的な要素とは別に、霊魂や精霊といった霊的な存在が宿っているとする考えのこと。英国の人類学者 E.B.タイラーによって1871年に提唱された言葉。(…)アニミズム的な世界観が事実に基づく正しい主張であると考える研究者は皆無だが、多くの民族に広く見られる思考形態であることから、「一体人は何故このような方法で世界を把握するようになりやすいのか」といった観点から広く研究が行なわれている。 ――汎心論 - Wikipedia

ピアジェの「アニミズム」。
子供はその成長段階のある時期(およそ2歳から7,8歳ぐらいの間)において、すべての対象を心を持つ存在と考える傾向、すなわち擬人化して捉える傾向があることが知られている。こうした傾向のことを心理学の世界ではアニミズムと呼ぶ。上述のタイラーのアニミズムにちなんで、1968年、スイスの心理学者ジャン・ピアジェによって命名された。例えば子供が自分の持っているぬいぐるみが、喜んだり、痛がったりしている、と素朴に信じているのは、こうしたアニミズム的思考の典型である。 ――同前

実験発達心理学者によるピアジェの視点を部分的に支持する研究。
1940年代にアルベール・ミショットは画面に映し出された二つのオブジェクトが、それがヒトや動物の形をしていなくても(それが四角や三角の記号でも、ドットであっても)、一方がもう一方の後を追うように動いているときには「追いかけている」と認識されることを明らかにした。1987年にはアラン・レスリーがこの認識が幼い子供でも起きることを発見した。レスリーらの研究によればわずか生後半年の乳児でも二つのオブジェクトが単に動いているだけなのか、「追いかけている」のかで異なる反応が起きる。 ――同前

ジャック・モノー『偶然と必然』の用語 animisme を、渡辺格・村上光彦共訳の日本語版では「物活説」と訳した。
佐藤直樹『40年後の『偶然と必然』』では、意味を補って「生命物質同等論」など。
『40年後の――』は『偶然と必然』を理解する上でありがたい書だが、téléonomie の訳として「(目的律的な)合目的性」と意味を補うなど、同書の提案する訳語は意味の正確な置き換えにこわだりすぎるきらいがある。思想書でも哲学書でも、その他の専門書などでも、それぞれのキーになるような用語は独自の偏向を帯びているのが常だから、必要があれば注記するなどして、訳語としてはシンプルなものを宛てておくのがよいのでは。animisme なら、たんに「アニミズム」とする。

ピアジェが「アニミズム」という用語を民俗学(民族学)から心理学に導入したのが1968年という。
モノーの『偶然と必然』は1970年刊。
後者の「アニミズム」には、心理学の影響がありそう。