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2019-11-12
ジャック・モノーの用語 téléonomie の訳
以下はすべて佐藤直樹『40年後の『偶然と必然』――モノーが描いた生命・進化・人類の未来』による。
佐藤自身は téléonomie を「(目的律的な)合目的性」と意味を補って訳す。

ジャック・モノー『偶然と必然』(1970)の用語 téléonomie を、日本語版(1972)は「合目的性」と訳した。

現代の生物哲学では、英語の teleonomy を「目的律」と訳し、teleology を「目的論」と訳すのがふつう。

英語の teleonomy は時間生物学というジャンルを作った C. Pittendrigh が生物学に導入した(1958)。導入の意図は、「目的を目指して動くように見えるオートマトン」を念頭に「目的に向かって進むシステム end-directed system」という概念一般を、アリストテレスの伝統による目的論 teloology から切り離すため。

モノーはコレージュ・ド・フランスの開講講義(1967)で、téléonomie について「合目的性 finalité という言葉を慎重に避けて使う言葉で、生物が、ある一つの目的 fin に向かって作られているかのように見えることを指す」と述べた。講義の内容は『偶然と必然』とほぼ同等。

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