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2013-01-06
ヒーローは人殺しで女好き
『大菩薩峠/百』の続きを読む。

第5巻「竜神の巻」でお豊という人物が登場する。
お豊は闇のなかで裸になる。当時としてはエロチックな描写ということになるのだろうか。お豊が滝で水ごりをする場面らしい。

第6巻「間の山の巻」にもお豊の名が出てくる。
この巻は間の山(あいのやま)という土地の描写と主人公・机竜之助の回想的記事である。お豊がお浜に似ていることが語られる。どうやら竜之助は前巻の竜神の滝でお豊と出会ったらしい。

『百』を検索すると、お豊の名がもう一度だけ第8巻「白根山の巻」に出てくる。
この巻は竜之助の回想と恋愛観である。「おれは女というものではお浜において失敗(しくじ)った、お豊においては失敗らせた」という。

これらの巻で見る限り、竜之助は女のことしか考えていない。
『大菩薩峠/百』から機械的に抽出した竜之助の人間関係は、



この図にあるものに限られるが、ここでも竜之助の人間関係は異性に比重があるように感じられる(郁太郎は竜之助とお浜の子)。
抽出のアルゴリズムが粗っぽくて、この図では取り落としているが、上の各巻によれば竜之助とお絹のあいだにも何らかの交渉があり、お玉という人物とも関わりがある。
いっぽう、竜之助は人殺しでもある。お浜の夫を殺してお浜を奪い、そのお浜も殺した。『百』を検索すると、子供のころにも人を殺している。

ヒーローは殺人者にして好色者。西部劇のガンマンから、007のジェームズ・ボンド、日本の丹下左膳、座頭市まで、相手が男なら殺し女なら情をあれこれ。ヒーローとはそういうもので、我が竜之助も同じ。
ということで、また平凡すぎる発見をした。

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