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2013-01-12
「長靴をはいた猫」のミもフタもない教訓
「長靴をはいた猫」は他人(猫だが)まかせの若者が「この世でもっとも美しい王女」と結婚して王の婿になる話。
イタリアの民話から出て各地に広まったものらしく、グリム童話集にも収められているが、一般にはシャルル・ペローの作で知られる。そのペロー版の末尾に二つの教訓が付いている。

教訓その1(新倉朗子訳『完訳 ペロー童話集』)
父親から息子へと贈られる
豊かな遺産を受けつぐのが
いかに恵まれたこととはいえ、
ふつう若者にとって、
世渡りの術とかけひき上手が
もらった財産より役に立つ。

一般論としてそういうことは言えるだろう。
しかし、この物語の若者は自分でかけひきをしたり世渡りの術を発揮したわけではない。猫のするままに任せただけである。
なによりも猫そのものが、兄たちの受け継いだ粉ひき小屋やロバよりずっと大きな遺産だった。

教訓その2(同)
粉ひきの息子が、これほど早く、
王女さまの心をとらえ、
恋わずらいの目でみつめられたからには、
衣裳や顔かたちや若さが、
恋心を吹きこむのに無関係でない証拠。

人は運と能力があれば良い目が見られる。
イケメンに限ると言ってるわけで、真理にはミもフタもない。