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2018-07-15
日本の戦前歌謡が台湾で歌い継がれていること
台湾の女性歌手が歌う「深情難捨」


歴史の天使、ブランキ、ブランキ殺し、上海の春、などのキーワードで検索していて上のビデオにぶつかった。同じメロディで歌詞の異なる「深情難忘」というのもあり、台湾では知られた曲らしい。
関連情報をたどると、オリジナルは1938年(昭和13年)に東海林太郎の歌で発売された「上海の街角で」。

東海林太郎の「上海の街角で」。佐野周二の台詞が入る。


20年以上前のことになるが、台湾土産にもらった数枚の CD で戦前・戦中の日本の歌謡曲が同地で歌い継がれているのは知っていた。やはり同じころ、池袋の台湾料理店に入ったら中国語で歌う日本の歌謡曲が流れているので、女性店員に CD の入手方法などをたずねると、
「お母さんがいないからわからない」
との返事。お母さんとは母親のことか。日本の歌謡曲を聴くという感性が若い女性店員には受け継がれていないことがわかったが、古い歌謡曲を BGM として流す世代がいるのを知って、面白いなと思った。中国語で流しているのだから、聴き手としても中国人を想定しているのだろう。そういうカルチャーが東京池袋で生き残っていたわけである。
ということで終わっていた話なのだが、以来20数年あるいは四半世紀が経過した今朝になって、上のビデオに行き当たった。台湾では引き続き日本の戦前歌謡が歌い継がれているらしいのである。検索のきっかけに遡って言えば、台湾の歌謡界は日本の歌謡界にとっての「歴史の天使」なのではあるまいか。

こんなのもあった。竹笛(八孔簫というらしい)で吹く「上海の街角で」。
子どもの音楽教材にまでなっているとは思えないが。


「ブランキ殺し」や「上海の春」についてはこちら - 永劫回帰の現場 - Magazine Oi!