to top page
2018-12-26
柳田國男 / 折口信夫 = マルキスト / アナーキスト
柳田國男 / 折口信夫 = マルキスト / アナーキスト
常民 / 非常民 = プロレタリア / ルンペンプロレタリア
これらのことが、以下のことなどから言える。

 安藤 柳田の言う、いわゆる「常民」とは、ミドルクラスの上とういことですね。
 富岡 生産にかかわって定住し、きちんと堅気さんの生活をしている人。折口にはそういうところが、どこかで欠落していますね。
 安藤 折口には、それがないのです。「ない」というと語弊があるかも知れませんが、本人の気持ち、あるいは本人の生き方としてそうだった。
 富岡 常民ではないところにルーツを探りたいと思っているところがあるでしょう。
 安藤 柳田國男も、本来興味をもっていたのはそちらのほうだったと思います。「山人論」ですから。だからこそ、折口信夫は接近していったのに、折口がそういうことを書き始めると、柳田が抑圧するということがあった。
 富岡 せっかく書いても雑誌に載せないとか。
 安藤 あの仕打ちはひどいですよね。しかもその論考は「まれびと」論の中核となるものでしたから。(富岡多恵子・安藤礼二『折口信夫の青春』)

「『まれびと』論の中核となるもの」とは、『折口信夫全集』で冒頭に置かれることになる「国文学の発生(第三稿)」のこと。折口は、柳田に師事はしても、貫くものは貫いた。

 安藤 やはり、折口信夫の思想もまたアナーキズムなのだと思います。折口信夫の生涯をたどっても、ホモセクシャルを認めていない時代に、結婚をせず、弟子たちと共同生活を送るというのは、世間からずいぶんと高い圧力を受けることだったと思うのです。(同上)