資本主義に対する均衡錘の消滅
コミュニズムの夢があまりリアリティを持たないにしても、それにもかかわらず、マルクス主義者たちは、コミュニズムの夢、よりよい社会を作ろうという夢を分析してきました。いまや、それは存在しません。資本主義に対する批評的な均衡錘 がまったくなくなってしまった。いま起こっていることは本当に恐ろしいことだと思いますね。世界的規模の企業文化が最終的な解答であるとされ、それに対立するものが何もない。それは非常に悲劇的な状況だと思います。 ――リチャード・フォアマン「オントロジカル・ヒステリック・シアターの現在」
2000年3月、『バッド・ボーイ・ニーチェ』の日本公演を前にリチャード・フォアマンが語ったこと。巻上公一・鴻英良編『反響マシーン――リチャード・フォアマンの世界』所収。
世紀末感も新しい世紀を迎えるお祝い気分も薄かった20世紀から21世紀への移行――というのが自分の記憶だが、天秤の一方が空になって迎えたのが21世紀だったのか。