上田秋成「海賊」の時代設定
任国の土佐から都にかえる紀貫之の船に海賊が単身乗り込んでくる。「自分の質問に答えろ」と海賊は貫之に文学、歴史、政治にわたる論戦を挑むが、一方的に自説を述べ終えると小舟に飛び移って去る。
上田秋成「海賊」の時代設定は承和年間(834-847)。
海賊の正体は文室秋津であったことが、作の末尾で明かされる。学識のある人物だったが、放蕩乱行のため追放され今は海賊となって暴れまわっている、と。
史書の伝える文室秋津は承和の変(842年)に連座して左遷され、翌年(843年)配所で没。
紀貫之の帰任は承平4年(934年)。
秋成は時代を90年ほどずらせて貫之と秋津を出会わせた。
関連記事: 『歴史哲学テーゼ』を『春雨物語』で置き換える
上田秋成「海賊」の時代設定は承和年間(834-847)。
海賊の正体は文室秋津であったことが、作の末尾で明かされる。学識のある人物だったが、放蕩乱行のため追放され今は海賊となって暴れまわっている、と。
史書の伝える文室秋津は承和の変(842年)に連座して左遷され、翌年(843年)配所で没。
紀貫之の帰任は承平4年(934年)。
秋成は時代を90年ほどずらせて貫之と秋津を出会わせた。
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